中村扇雀の公式ブログ

「欲望という名の電車」

2011年4月19日

今月は東京で昼の部のみの公演ですので他の劇場に足を運べますのでこの機会を利用して舞台を見てきました。

http://www.parco-play.com/web/page/information/yokubou/


テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』
松尾スズキさん演出の秋山奈津子さんのブランチ

これだけでも演劇ファンは食指を動かされることは間違いないと思います。

秋山奈津子さんは以前のコクーン歌舞伎「桜姫」で僕が長浦を演じた時その現代版で僕の演じた"長浦"と同じ役を演じていた縁があります。表現力豊かな女優さんです。

体に役が染み込むことが最も大事なことだと思いますが見事に体現されていました。
精神の病んだ役は創造の過程で自分の思考が、普段想像できる範囲を超えるものだと思います。ブランチにはトラウマがありますが、自殺せずに生きて来たなかに本当の自分と別の作り上げられた自分が共存しているので役者にとっては最難役なのだと思います。
膨大な台詞を全て自分の言葉として口から放出していくエネルギーは並大抵のものではありません。奈津子さんやり遂げたと感じました。まだまだご自身の中ではもっともっとという気持ちが必ずあると思いますが、ブランチの半生がそこにはありました。

松尾さんの演出は目の前で時間が過ぎて行くのがリアルに伝わりいくつかのギャグもあり転換の映像と音楽がブランチとシンクロして伝わってきました。この方の才能も歌舞伎に注入していただきたいですね。

スタンリーの池内博之さんの肉体から出る役の臭いのようなものが伝わってきました。
そしてステラの鈴木砂羽さんはスタンリーの妻でブランチ妹という間で揺れる人格が見事でした。

歌舞伎以外の舞台は刺激が強いんです。やはり自分自身役者の感性で見てしまうのかもしれませんが、周りのお客様同様生きる活力を舞台から貰いました。

スタッフそして出演の皆さんありがとうございます。

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コメント

桜姫は歌舞伎も現代版も両方 拝見させていただきました。確かに秋山さんはパワーがありましたよね。印象に残っていますし、その後チラシとかでお名前を見たときには、あっあのときのって思いますもの。

松尾スズキあさんも、ただものではないオーラがありますよね(笑) 歌舞伎の演出をされたら面白いかもしれませんね。そういう企画があったらすぐに観に行きますよ。

先日は私は美輪明宏さんの舞台を観に行きました。愛の賛歌 エディット・ピアフの物語でしたが、切なかったです。美輪さんと歌舞伎のコラボって・・・・・。

扇雀さんこんにちは。ブログいつも楽しく拝見しております。
2年前に仕事のため上京し、初めて歌舞伎を見て扇雀さんの演技に魅了されてしまいました!温かさと人情が溢れていて、なんだかふるさとの母親のような安心感があります。笑
東京は歌舞伎だけでなく色々なジャンルの舞台が充実していて本当に楽しいですね。大学時代から、歌舞伎は絶対見に行こうと決めていました!松尾スズキさんも大好きで、この舞台も大変興味深いと思います。
今週末また新橋に見に行きます。本当に楽しみです。朝夕はまだ少し冷えますので、お体に気をつけてがんばってくださいね。

北山さん
松尾さんには勘三郎さんがすでにオファーしていると思いますよ。
美輪さんとのコラボは考えませんでした。
演目は「黒蜥蜴」とかでしょうか?
三島由紀夫や江戸川乱歩作品は歌舞伎ですでにやっていますから・・・・

y.sさん
ありがとうございます。
新橋演舞場の序幕で、嫌ーなおっ母さん役でお待ちしています。
でも梅川も楽しみにして下さいね。
パルコ劇場是非行って下さい。あと今月のコクーンも注目です。

私も桜姫、歌舞伎版と現代版、両方拝見しました。あの時の女優さんが、ブランチを演じてらっしゃるのですね。これは観に行かなくては!チケットが取れればいいのですが。(本日早速伺おうかと思ったら、水曜日はお休み、、)
「欲望という名の電車」のブランチは、ジェシカ・ラングのロンドン公演で観たことがあります、なんと調べてみたら1996年、もう15年も経っていたなんて、自分で驚いています。スタンリーは、トビー・スティーブンスという、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの俳優で、ばりばりイギリス人ですが、アメリカ深南部の英語を流暢に発音し、暑くてじっとり湿気を帯びた空気感を、ロンドンの舞台で再現していたことを思い出します。
日本語だと、どんな「湿気」が出てくるのか、ちょっと興味があります。
興味深い舞台のご紹介ありがとうございました。
歌舞伎とのコラボ、私もいろいろと夢想します。
海外で観た舞台で、これを歌舞伎版にすればいいのに、とか、この歌舞伎をロンドンに持っていけばウケルのに、などと、製作費度外視で素人は考えております。

みゅうさん
チケットとれると思います。是非、奈津子さんのブランチに触れて下さい。
ジェシカ・ラングのブランチも凄そうな気がします。
イギリス人がこの作品を上演するのも興味深いですね。

RSCのジェラルド・マーフィーという役者兼演出家の演出で、かつて毬谷友子さんのロザリンドで「お気に召すまま」のオーランドーを演じたことがありますが、や間に通訳が入ると意思の疎通がしにくく大変な思いもしましたが、いい経験になっています。
ロンドンでRSCのマーク・ライランスを紹介されRSCの稽古を見せてもらったことがありますが、本稽古に入る前のメソッドが凄くて役者さんの体の表現力や創造性に圧倒されたことがあります。
日本のグローブ座とロンドンのグローブ座の舞台の両方に立っている役者は少ないと思いますが、実は僕そうなんです。ロンドンは1日だけ特別に素踊りで「吉野山」の静御前を踊りました。お芝居ではないんです。イベントでした。でも客席が舞台の目の前は屋根がなく立ち見になっていて感激しました。

ロンドンのお客様に僕が考えている「曾根崎心中」の幕切れのヒントを貰ったことがあり、どこにヒントが落ちているか分かりません。
できる限り歌舞伎以外のものに触れたいですね。

本日、舞台拝見しました。
おっ母さん、本当に頬に悪党の文字が見えるかのような、大変な迫力でした。でも、どことなく演じていて楽しそうに見えました…。笑 そしてあまりの極悪非道ぶりに、拝見している方も逆に気持ちよく思えました(笑)
鬼のような母親とは打って変って川さんはとても可愛らしい娘になっていて、2作のギャップがとても面白く、ますますファンになってしまいました!また、遊女ということでお召し物もすごく素敵で見入ってしまいました。
江戸の町人文化や上方の文化などいろいろなことに興味がわいて、ますます歌舞伎が好きになりそうです。劇中で宮地芝居が行われていたと言われていた湯島天神にも足を運んでみようと思っています。ありがとうございます。これからも見に行きますので、お体に気をつけて頑張ってくださいね。
(ブログとは関係ないのですが、お芝居の直接感想を伝える場所が思いつかずこちらのコメント欄に書かせて頂きました。すみません。)

y.sさん
コメントありがとうございます。
感想をいただけるのが一番楽しみですので、気軽に書き込んで下さいね。

文字辰は確かに楽しんでました。
梅川も父との共演で悲劇なのですが、楽しんでます。というよりは浸っていると行った表現が正しいのかも知れません。父の体に染み付いた上方の空気を吸い取っているのかも知れませんね。ここが東京生まれ東京育ちの上方役者の修行の場なんだと思います。

八月まで歌舞伎の本興行はお休みです。

劇場でまたお会いする日を楽しみにしています。

ロンドンと東京のグローブ座、両方の舞台に立たれた数少ない役者さんのおひとりとのこと。RSCのお稽古も御研究されていらっしゃるとのこと、感服いたしました。やはり、歌舞伎は日本の誇りです!
お薦めいただきました「欲望という名の電車」早速拝見いたしました。俳優さん達のエネルギーには本当に圧倒され、最後の30分ぐらい、ブランチに感情移入してしまい、泣きそうになりました。
緊張の糸がぴーんと張りつめた感じで、観劇後ぐったりしました。恐らく、ロンドンで観た公演が、もう少しゆったりしていたのは、アメリカの南部訛りのせいだと思います。浄瑠璃は凄惨なシーンがあっても、どこか救われるのは、柔らかい上方言葉のせいではないか、とふと思いました。
とにかく蒸し暑い、人の理性もどこか変になるほど、じとじとと蒸し暑い、そんな感じも、あの南部訛りが醸し出したのかもしれません。
「夏祭浪花鑑」のようなあの暑さ、、、
言葉の舞台効果は面白いなあ、と思いました。
興味深い舞台をご紹介いただきありがとうございました。(拙い感想文を長々と失礼いたしました)
5月5日、北九州芸術劇場に伺います。最前列のお席が確保できまして、大変、楽しみにしております。

みゅうさん
舞台というのは舞台側も客席側もその日の自分自身の体調や精神状態によって全て感じ方が変わってくるものです。また、客席のお客様全体の空気感で微妙に変わることもあるはずです。
客席にいらして、今日は何か静かな客席だなとか(静寂ではなく拍手等の盛り上がりの意味です)賑やかだなとか感じることがあませんか?

しかし、私達役者は25日間毎日繰り返しですが、お客様は基本的に一回のご観劇機会と思って毎日舞台に立っていますので、本来は客席のその日の空気感で舞台が変化してはいけないと思っています。ですが役者も人間ですし感情動物なので正直波はあります。

今日のできは昨日より悪いかもしれないと感じることも勿論ありますが、手を抜いた訳ではありません。
今月の梅川等は特に、父の忠兵衛との掛け合いの間で台詞の伸縮が変わる時があったり、感情の揺れ幅が大きい時があったり連日日替わりメニューのように変わるのですが、どの日の舞台も僕にとってはベストな舞台なんです。が、好き嫌いもあります。自分の好き嫌いとお客様の好き嫌いが必ずしも一致する訳ではないので、そこが悩めるところですね。

でもそれがライブの一番の醍醐味ではないでしょうか。

北九州は一回限りの舞台なので、気負い過ぎないよう集中しますので楽しみにしていて下さいね!

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