中村扇雀の公式ブログ

2021年5月記事一覧

「紀尾井町家話へ初出演 6月3日(木)20:00~配信」

2021年5月29日


今日から6月国立劇場歌舞伎鑑賞教室「人情噺文七元結」の稽古が始まります。

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稽古期間4日間の中で初めて夫婦役を務める松緑さんと長年連れ添った夫婦を作り上げていきます。
この"お兼"の役は亡くなった勘三論のお兄さんと何度となく務め、山田洋次監督の演出でシネマ歌舞伎にもなった私にとっては馴染みの深い演目です。
落語の人情話を歌舞伎化した作品で落語には出せない視覚の部分で歌舞伎ならではの舞台を作っていこうと思っています。

歌舞伎鑑賞教室の公演は一般の方は日曜日にご覧いただくことになっていますが
「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」という18時開演の公演が11日(金)と18日(金)に上演されます。
初めて歌舞伎を観られる方にはうってつけの演目ですので歌舞伎未経験の方に声がけしてコロナで疲弊している気持ちを払拭して下さい。

その共演する松緑さんが続けているネット配信飲み会

「紀尾井町家話」2021年6月3日(木)20:00~配信

にゲストとして初めて出演します。普段は共演機会の少ない松緑さんですが、それだけに新鮮な話が飛び出すと思います。コロナ禍で対面での会話ではなく人生初のZOOMで飲み会となるのでどうなるか楽しみです。

ネット環境のテストをしたのですが、自宅で1人で飲んで楽しいのかなという不安はあります。逆に癖になるか今から楽しみです。

https://www.kabuki-bito.jp/news/6811/

初日の次の日ですのでレアな会話が飛び出すと思いますのでこちらも是非ご覧下さい!

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「秀太郎兄さん」

2021年5月28日

歌舞伎では親戚でなくとも先輩のことを叔父さん、兄さんと呼ぶ慣習がある。
相手によつて親しみを込めて言う場合と、敬意を持って言う場合との違いがあるが秀太郎のお兄さんは私にとっては両方だった。
歌舞伎に関する知識はまさに国宝であり敬意を持ってお兄さんと呼ばせて頂いていた。
特に上方の歌舞伎を熟知してらっしゃり、江戸との違いも細かく記憶してらっしやった。
教えて下さる時も、これはこうだからこうしなさいではなく、ご自身のご存知のことを伝授して下さり、やりよかったらそうしなさいと言った教え方をして下さった。無論そこには先輩の息子ということもあり少し遠慮がちにおっしゃることもお兄さんのお人柄だったと思う。

3年前の3月歌舞伎座の「国性爺合戦」でご一緒した時に「ひろちゃん(私の本名)しんどいのよ息が」とおっしゃってらしたけれどもしっかり母渚を縄で縛られながら務められたお姿が目に浮かんで来ます。
いつも笑顔でいらして長男の虎之介のことも気にかけて下さっていてお人柄に憧れていました。

封印切のおえんで私が梅川でご一緒した時も舞台上でおえんさんの梅川に対する優しさがご自身の優しさにも被って、忠兵衛を務めていてもお兄さんのおえんさんの優しさが悲劇を浮き立たせて下さいました。
思い出はつきませんが、去年の顔見世の千穐楽に舞台にお出になられた時にご挨拶に行きたかったのですが、コロナで楽屋の行き来が禁止されお目にかかれなかったのが心残りでなりません。

愛ちゃん(愛之助さん)を養子に迎えられて、ご自身の上方歌舞伎への愛情を継承する役者さんを作られたことは大きな功績の一つだったのではないでしょうか。

今までの多くの教えに感謝し心よりご冥福をお祈りし哀悼の意を捧げます。

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