中村扇雀の公式ブログ

2019年9月記事一覧

「スポーツの秋」

2019年9月24日

スポーツの秋という言い方を一般的に今でもしているのでしょうか?

公演で毎日時間に追われていると体を動かす時間を作るのが段々厳しくなってきます。
自分自身はジムに通い泳いだり、走ったり、サウナに入ったりが日常になっていますが、ここのところサボり気味となりアスリート体型から程遠い肉体に焦りを感じています。

自分はさておき、このスポーツの秋にジャイアンツの5年ぶりのセ・リーグ優勝!
ファンの一人として本当に嬉しい!おめでとう!優勝決定後の原監督のインタビューはもう素晴らしいの一言で、歴代名将の一人として名を残されたと思っています。その興奮冷めやらぬ矢先に阿部選手の今季限りの引退報道は衝撃でした。勿論、いつかは引退を余儀なくされるプロスポーツの世界ですが素晴らしい引き際で、これまでありがとうとファンの一人として言わせて下さい。

そしてテロの犠牲になった外交官奥克彦さんのラガーマンとしての夢が叶った日本でのラグビーW杯の開幕。小学校の頃から秩父宮でラグビーを見てきた一人としてラグビーの世界一が日本で決まるなど想像もしていませんでした。初戦の勢いで次戦以降も素晴らしい試合を期待し応援します。

大好きなゴルフ(一応ゴルフ部出身です)では渋野日向子選手の大活躍。素晴らしい。人一倍の努力の結果だと思います。

大相撲の優勝決定戦の興奮。貴景勝関の怪我とても心配ですが、御嶽海関の大関への期待。

そして来年のオリンビックに向けての代表選手選考の数々の競技の盛り上がり。
特に私自身も東京マラソンを二度完走しているのでマラソンのMGCの激闘はTVに釘付けになって観戦しました。42.195kmは孤独なんです。肉体の上に強い精神力も求められています。それはマラソンに限らず全てのスポーツに要求されることですが、こうして数々のスポーツの名場面を見ていると体育会に所属していた頃のことを思い出すんです。
色んなことを身体で学びましたが、今現在大切な事それは健康という思いに結びつくんです。スポーツには引退があるかも知れませんが役者は肉体が滅びるまで続けていきたい、続けられるように肉体管理をしなくてはと、このスポーツの秋に数々の競技で感動して改めて思う次第です。

ゴルフは90歳でもできる数少ない競技ですのでこちらも時間の許す限り続けていきたいと思います。

明日は巡業千穐楽、スポーツに近い4役早変わりで肉体を動かしてきます。

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「南座 「東海道四谷怪談」」

2019年9月 7日

6日昼の部巡業公演の移動日に南座 「東海道四谷怪談」を観に行って来ました。
この演目には何度か関わったことでしょう。
昭和63年の大阪中座で幸四郎(現白鸚)のお兄さん田宮伊右衛門、勘九郎( 故勘三郎)のお兄さんのお岩さまで私は今回甥の壱太郎が努めていますお袖とお花を演じたのが最初です。

関西で歌舞伎にお客様がなかなか多く入ってくださらなかった時代に、一大旋風を巻き起こした公演でした。先代の勘三郎のおじ様が亡くなった後の公演で哲明(のりあき故勘三郎さんの本名)さん体を絞り気迫は文字通り鬼気迫るものでした。
その公演中に今回お岩さまを努めるまだ小さかった七之助さんが東京の自宅で目が腫れて病院に入ったという知らせが入り、お参りをしたにも関わらずそんな事が起き因縁の深さに驚いとことを記憶しています。大事に至らなかったのが幸いですが、役に執念を燃やすお兄さんにお岩さまが乗り移ったのではと噂したものです。そんな中、日増しにお客様が増え続け満員札止めで通路にもお客様が溢れる事態となりました。お兄さんと毎晩終演後に芝居の話を連日した懐かしい舞台です。その後お袖・与茂七・小仏小平・お岩さまを努めることとなり縁の深い演目ですので楽しみに足を運びました。今日1日は観客です。

私もお岩さまをコクーン歌舞伎で演じた時は1ヶ月で体重を8キロほど落とし臨みました。
お岩さまは切なくて優しくただひたすら伊右衛門さんを愛する女性です。顔が醜くなってからのお岩さまの印象が強いのですが、そこに至るまでのプロセスがドラマとして重要ではないでしょうか。
隆ちゃん(七之助さんの本名隆行から普段こう呼んでます)は幼少期のその経験もありお父さんが何度も演じたこの役には思い入れが深いと思います。
その舞台はまず与茂七の花道の出でお父様が出て来てのではと思うほど似ていました。
勘九郎さんが近年特にお父様に似てきたと言われますが、この与茂七の似かたはそれに匹敵か或いはそれ以上でした。とにかく花道の出で体が思わず前にのめりました。
芝居が進むとやはり普段ほとんど女方を努めている分お父様とは線の違いが出てきますが
与茂七という役を理解しているので気になる所ではありません。
お岩さまはやはりやりたかった役の一つだったことが伝わってきて切なさがしっかりと伝わり、種々の仕掛けもスムーズに初役とは思えぬ出来だったと思います。
そして愛ちゃん、照之、壱(普段の呼び方で綴ります)と四谷怪談の物語が進み久しぶりに客席側で見たこの演目ですが、やはり時間の都合上カットいている部分が多くそこが非常にむづかしい所であると改めて気づかされました。回文書の件や三角屋敷や夢の場など全部観てみたいと思ってしまいますが、何時間かかってしまうのかむづかしいことなのでしょう。
けれども客席は満員で満足感が伝わり中座の公演を思い出しながら劇場を後にしました。
関西には「いろは仮名四谷怪談」として髪梳きを「黒髪」の曲で上演するやり方がありますのでいつかは演ってみたいなと思いながら、ふっと今日の公演、愛ちゃんの直助権兵衛、照之の伊右衛門さんでみてみたいななど妄想して巡業の舞台に戻っていきました。

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「公文協西コース初日」

2019年9月 2日

8月27日の歌舞伎座千穐楽から中3日で8月31日公文協西コース初日を迎えました。

今回は「蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」初役で4役早替りを努めます。
父が得意とした演目の一つでいつかは努めたいと思っていました。
女方(女童扇弥・傾城薄雲太夫)立役(座頭駒市・蜘蛛の精)の4役を演じ分ける舞踊です。
蜘蛛の精は女郎蜘蛛の精で衣装も裾を引いているので厳密には女方なのかも知れませんが
隈取りをしての立ち回りも有りますので立役に分類してよいとは思います。

長唄と常磐津の掛け合いもこの演目の特徴です。
舞踊は特に音曲の演奏が重要になってくると考えています。

今回常磐津は関西常磐津協会の常磐津小欣矢さん巴瑠幸太夫さんにお願いいたしました。
上方歌舞伎を継承する立場として家のげいである「吉田屋」は関西の常磐津の方に語って頂きたいという思いがあります。
私自身も故常磐津常磐津一巴太夫のお師匠さんの弟子でもあり「吉田屋」にも出演して頂きその継承の気持ちも込めて努めて頂いています。
長唄も関西の杵屋勝之弥さんに長唄の演目の時はお願いしています。立三味線は菊五郎劇団の杵屋巳太郎さんが努めてく下さっています。

蜘蛛の精が投げる蜘蛛の糸も見どころの一つだと思いますが、今回は振り付けの藤間勘十郎さんの薦めもあり能で使用する糸を使うことにいたしました。
歌舞伎公演では尾上音吉さんが作る糸を通常使用しますが、今回は能の舞台で使用するものを使わせて頂いています。
少し幅が細く長さが長く小さい重りが先についています。
コツは投げた後に伸びた後にスナップで引くと教えて貰ったのですが、なかなか簡単にできるものではなく、また糸も練習できる物がありませんですので本番で回数を重ねてコツを掴んでいくつもりです。

西日本の巡業ですが今回は九州の公演が組み込まれていなく残念です。
26日間19箇所の公演28回公演各地での公演楽しみにしています。

各地皆様のご来場をお待ちしています。

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