中村扇雀の公式ブログ

「日日是好日」記事一覧

「土屋主税の俳句」

2019年1月17日

劇中で土屋公は都文公という俳名を持ち俳句が好きな設定となっています。

ですので劇中舞台上で討ち入りが始まってから短冊に俳句を毎日書いています。

襲名と 年重なりし 鎮魂歌

本日1月17日の24年前阪神淡路大震災が起こり大阪中座で扇雀襲名披露公演中の私は心斎橋のホテルの30階で就寝していました。その瞬間は今でもよく覚えています。
震災からの年月が扇雀を襲名してからの年月なのです。

ですから今日は役を離れ現実の句を書きました。

楽屋に並べているので今日までのものを恥ずかしながらご披露します。
舞台で手に持ちながら書くので乱筆はお許しください。

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舞台上で思いつくものや考えていたものなどまちまちです。
俳句は習ったことありませんのでその点ご容赦下さい。
思いつくままです!
何しろ劇中ですので、、

曽祖父の おもかげうつす 庭の雪
初夢に 初代の生の 声を聞き
土屋公 四代を見つめる 雪兎
曽祖父と 同じ雪見て 筆をとる
浅野家の 無念を晴らす 太鼓の音
月灯り 武士の魂 導きて
成駒の 血を受け継ぎて 土屋公
果てしなき 祖父の歩みし 芸の道
手を焙り 初代の姿 我に乗せ
月灯り 大願成就の 力となり
空蝉に 武士の魂 今一度
時となり 悲願の涙 雪溶かす
初春に 精進ちかう 芸の道
襲名と 年重なりし 鎮魂歌

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「初詣」

2019年1月 1日

明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い致します。

恒例の大阪での初詣はお初天神こと曽根崎の露天神社に父とともに行って来ました。
父の一番思い入れのある役である「曽根崎心中」のお初の像が境内に設置してあり父はその像を触るのが恒例になっています。

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父が寄贈したものです。

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その後私は「夏祭浪花鑑」の上演でお世話になった福島天満宮の寶来さんのところに初詣に行き今年一年の無病息災を祈願してまいりました。

このハードスケジュールの中、あれもこれもと欲を出さず健康以外は願うことがなくなってきています。
健康な肉体かなければ皆様に何もお見せできないからです。

しっかり初詣してきました!

今年も宜しくお願い致します。

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「大晦日」

2018年12月31日

今年も一年間ありがとうございました。

多くの舞台に立ち多くのお客様にご来場頂き改めて御礼申し上げます。
そして舞台を支えているすべての皆様にも御礼申し上げます。

感謝の気持ちでいっぱいです。

87歳を迎えた父の誕生日である大晦日。
12月顔見世「新口村」開演前

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父とともに舞台に立てる喜びとともに
一年を振り返りまた新たな年では新しい役に挑戦していきたいと思っています。

皆様、良い年をお迎え下さい。

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「誕生日」

2018年12月21日

12月19日58歳の誕生日を迎えました。

今年も誕生日は親しい友だちが祝ってくれました。
自分の年齢がちょっとづつ信じられなくなってくる年令になってきました!

まだまだ歌舞伎役者としてやりたいことが山ほどあるのでこれからも皆様
宜しくお願いいたします!

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「浅草平成中村座追善興行」

2018年11月 4日

前回の浅草での中村座は兄の四代目中村鴈治郎襲名の歌舞伎座公演と重なったため出演ができず久しぶりの浅草での出演となります。
待ちに待っていました。

私の化粧前(鏡台)に飾っている写真です。

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左が平成中村座ロングランの「め組の喧嘩」千穐楽のカーテンコール
宙を見つめてロングランの大千穐楽を感慨深く噛み締めているようです。
右が平成中村座ニューヨーク公演の終演後皆でご飯を食べて街を歩いている時のスナップです。ニューヨークタイムズの劇評に当時大ヒットしていたスパイダーマンの映画より中村座の「夏祭浪花鑑」を観に行きなさいと書かれてスパイダーマンに勝ったと喜んでいた直後に、店頭にスパイダーマンを見つけ勝利の記念撮影をした時です。

ミッキーマウスは哲明さんも大好きでした。ちなみに御札は毎年お正月に送ってくださる奈良の秋篠寺の伎藝天尊のお守りです。

化粧をしいる時や舞台に出る前に声を思い出しています。
色々な会話をしました。
亡くなって6年。5歳年下の私は今年の12月の誕生日で抜いてしまいます。
時が止まったままの状態です。
今自分ができることに集中して前を向きつつお兄さんが生きていたらとこう言うのでは、と思いを巡らせて舞台に臨んでいます。
初日が開いたので解禁だと思いますが、夜の部の「弥栄芝居賑」でお兄さんに合うことができます。多くの方に浅草に訪れていただきたいと思います。

お待ちしています。

菩提寺の西徳寺も観音様からはほど近くです。
お酉様で賑わう鷲神社の斜向いです。
可愛がってくれた虎之介が又市で初めて"狐狸狐狸ばなし"に出演するので報告を。

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「勘九郎さん誕生日」

2018年10月31日

10月31日は勘九郎さんの37回目の誕生日
渋谷の街はハロウィンでごった返していますが、中村座では勘九郎さんの誕生日を静かにお祝いです。
何しろ明日が初日で勘太郎君と長三郎君のことが気になり自身も三役出演しているので誕生日どころではないというのが本音だと思います。

虎之介と2人から"Supreme"のイニシャルを四分割したマグカップ(親子四人なので)と六代目勘九郎にちなんでNIKE AIR JORDAN 6 RETROをプレゼントしました。
洋服好きの虎之介のチョイスですが写真がなくてすいません。
気になる方はネットで調べてください。

明日から平成中村座初日です。
私も勘太郎君との初共演楽しみです。

皆様多くの方のご来場をお待ちしています!

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「ロシア公演行ってきました」

2018年10月11日

8月の歌舞伎座公演を終え、当初今年唯一の休演月と決めていた9月ですが、昨年の夏にこの訪露公演の出演のお誘いを受け、人生初めてのロシアに行って参りました。

歌舞伎美人にも記事が掲載されていますので公演の詳細はそちらをご覧くださるとお分かりになると思います。

https://www.kabuki-bito.jp/news/4982

過去には何度が海外公演は経験していますがロシアは訪問も初めてで非常に楽しみにしていました。

一言で感想を申しますとロシア公演は期待以上の素晴らしい日々でした。

ロシアにおける日本年というイベントのプログラムの中に組み込まれ、同時にチェイホフ演劇祭にも参加というロシア側の受け入れ体制が整っていたことも幸いしました。
また今年度ロシアW杯が開催され世界から多くの外国人を受け入れる為に英語表記や英語メニューなどが数多く増え、移動や買い物などに全く不自由を感じなかったことも良かったのだと思います。何しろロシア語は読めません。私達の英語アルファベットの知識では解読不可能で文字化けと読んでいました。しかしロシアの方の英語はわかりやすく英語が母国語ではない者同士が英語を使うと、お互い理解しようという気持ちが強く働きわかりあえるのではといつも感じます。

今回はモスクワでとサンクトペテルブルグの2都市で計11回の公演で、連日現地の方が劇場を埋めて下さり、舞台上部の字幕も慣れているのか反応がよく芝居をしっかり楽しんで下さっていたと肌で感じました。15年前の訪露公演の時は日本語から英語、英語からロシア語に翻訳されたらしく伝わり難かったのでその教訓を活かして今回は日本語から直接翻訳したそうです。イヤホンガイドの方が一人いらして随時対訳を見ながらスイッチングをして下さったのも功を奏したのだと思います。

モスクワ:モスソヴィエト劇場のカーテンコール

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モスソヴィエト劇場の外

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モスソヴィエト劇場の入口の門

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モスソヴィエト劇場の門から入ったアプローチ

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モスソヴィエト劇場正面(アプローチから公園の中を歩いてその奥に静かに佇んでいます)

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モスクワでは連日スタンディンクオベーションとなりカーテンコールでは多くの方がスマホをかざして前の方まで出てきて写真におさめて姿が微笑ましくもあり嬉しくもあり心に残る感動を味わうことができました。
サンクトペテルブルグのお客様はスタンディンクは一度しかなかったのですがブラボーの声を凄くかけて下さいました。

サンクトペテルブルグ:ボリショイドラマ劇場正面昼と夜

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ボリショイドラマ劇場には花道が設置されました

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モスクワは歌舞伎を本当に楽しみにして待っていてくださった感じでサンクトペテルブルグのお客様は歌舞伎を待っていたというより演劇としてしっかり集中して観ようという方が多かったのではと思っています。サンクトペテルブルグの劇場は通称BDTと呼ばれるボリショイドラマシアターという演劇専門の100年を超える由緒正しき劇場で、客席内に花道を作ってくださっていました。千穐楽の前の日にサンクトペテルブルグのフォーシーズンズホテル内のレストランに終演後行ったところ。そのお店のマネージャーらしき女性に今BDTに出演してきたと告げると、あなたはグレートサクセスをしたと驚きの表情で喜んでくれました。さしずめ歌舞伎座で外人が母国語で母国の演劇を上演したようなことだったのでしょうか。ちょっと誇らしい気持ちになったりお酒も進みました。

サンクトペテルブルグではあの有名なタス通信に呼ばれ記者会見をしてまいりました。

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中村扇雀読めません

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今回は「吃又」と「吉野山」の二演目を上演したのですが、音曲とともにドラマが進行したり舞踊劇にセリフがあったり、舞台上に音楽の演奏者が座っていたり、つけ打ちの音が突然入ったり、全員男だったり、何しろ自分達の常識の枠を超えたものを眼前にしてその時間を心底楽しんでいただいていたように思えます。「吃又」は奇跡が起こりハッピーエンドですので受け入れやすかったのだと感じています。外人の方は幕が開いただけでは通常拍手はいたしませんが「吉野山」では満開の桜の吉野山の背景を見て拍手が湧き上がっていたのには驚きました。素直に美しいと感じてくださったのだと思います。狐が人間に化けて自分の親の皮でできた小鼓を追っかけて主人の彼女のお供をしていてその主人は歴史に名を残した名将ということはお客様は理解していないと思いますが、何か素敵だったのだと思って頂いてるような気はしています。

サンクトペテルブルグの終演後のレセプションでロシア文化大臣より感謝状を頂き最高の思い出となりました。何が書いてあるのかはわかりません。

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ロシアは寒い国だと勝手に思い込んでいましたが、モスクワは連日半袖で歩いていました。
ここでも異常気象のようです。
ロシアのドモジェドヴォ空港に到着した日は25度を超える暖かさで半袖で大丈夫

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海外公演に行くと朝必ずその街を走ります。ジョギングですが、フルマラソンを2度完走している経験があるので走るのは嫌いではないのです。それに海外に行くと歩いてその街を知るのが一番なので必ず走っています。ニューヨーク、ボストン、ベルリン、ロンドン、ローマ等早朝は気持ちのいいもんです。どの街でも多くのジョガーとすれ違うのですが、モスクワはほとんど走っていません。何故でしょう。モスクワはマリオットグランドホテルに宿泊したのですが、そこから中心のトベルスカヤ通りを一直線に走りクレムリンを左回りで一周してボリショイ劇場を通り戻ってくるルートでおそらく6~7kmくらいだと思います。
サンクトペテルブルグはコリンシアネフスキーパレスホテルに宿泊しネフスキー大通りをエルミタージュ美術館に向かって直進しネヴァ川沿いを走りトロイツキー橋を渡りザヤーチィ島の周囲を走り宮殿橋を渡り再びエルミタージュ美術館に沿って河岸を走り抜けロシア美術館とミハイル宮殿の横を抜けネフスキー大通りに戻ってくるルートを走りました。8~9kmくらいでしょうか。走っいる人とすれ違いましたが少ないです。

ただエルミタージュ美術館の前の川でおじいちゃんが水泳のための準備運動をしていたのにはただただ驚きました。多分何十年も続けている健康法なのでしょう。まだ7時にもなっていませんでした!思わずiPhoneにおさめてしましました。

6:35分頃が日の出でしたのでまだ7時前です。

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おじいさんと別れた後の早朝のキヴァ川、エルミタージュ美術館の対岸ザヤーチィ島

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早朝の対岸からのエルミタージュ美術館
iPhoneのイヤホンのボリュウムスイッチがカメラのシャッターになるのご存知ですか?

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元々絵を見るのは好きで、モスクワではプーシキン美術館、サンクトペテルブルグではモスクワ美術館、そしてエルミタージュ美術館を楽しみにしていました。
公演は連日19時開演ですので昼間はたっぷり自分の時間があります。
iPhoneのヘルスケアの歩数を見ると連日二万歩超えで、帰国時は出国より1.5kgは減っていました。

プーシキン美術館ではロシアにおける日本年の開催の為か日本画多く展示してあり図らずも写楽が二点尾形光琳や歌麿などが展示してあり思わず釘付けとなり海外で改めて日本文化の素晴らしさを再認識させられました。

プーシキン美術館

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写楽・歌麿・光琳

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エルミタージュ美術館では一番好きな画家カラヴァジオの絵が一点所蔵してあるのでそれだけを楽しみに行ったのですが、なんとフランスに貸し出していて不在でした。それを見るのが最大の楽しみだったのにかなりのショックでエルミタージュ美術館の本館を後にしました。中国人観光客の団体がものすごく多くダ・ヴィンチの前も人だかりで落ちていて見られず失意のまま新館に足を運ぶと、フランス人画家では唯一好きと言って良いマティスが三部屋にわたり展示してあり彫刻も数点あり、ピカソの展示の多さと失意の中から喜びに転じました。皆さん、エルミタージュ美術館は別館も必見です!お忘れなく。


そして今回はマーブル美術館というところで特別展をやっていた現代ロシア人の夫婦が強烈なインパクトで2度足を運んでしまいました。何が良かったのかは説明できません。

マーブル美術館

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イゴール・ペストフとエカテリーナ・ペストフ

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二作品だけお見せします。

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賛否が分かれるというよりは苦手な方のほうが多いかも知れませんが、私はかなりの時間その展示室にいた気がします。テクニックと共にメッセージを感じようとしていたのだと思います。興味のある方はネットで見て下さい。作品を2点掲載いたします。

絵を見て歩くのは実に楽しいのですが中々釘付けにはならないものです。
しかし心が落ち着くというか美術館巡りは楽しい。

海外での楽しみは食事もそうでしょう。その土地に行って食文化に触れるのもその国を知る一歩ですよね。和食抜きが続いても大丈夫な方なのでその土地の料理やレストランに行くのはわくわくします。
英語メニューと共に写真を載せているレストランも多くこれは助かります。外国語の説明がよくわからず出てくるまでどんなものかドキドキして待っている経験は皆さん一度はおありだと思います。
ロシア料理のイメージはボルシチ、ピロシキ、サーモン、キャビア、ビーフ・ストロガノフそしてウォッカといったところでしょうか。
ちゃんとすべて食べてきました。予想以上に美味しい。どのレストランもえっなにこれというがっかりがない。これは嬉しい驚きでした。
日本がレストランのレベルは世界一だと思っていますが、ロシアもレベル高かった。長期に滞在する時の一番大事なことかも知れません。
今回の公演旅行が楽しい素晴らしい時間になったのもそのお陰かも知れません。
ただ、大使公邸にご招待いただいたときの日本蕎麦は日本を離れてから最初の和食だったので心にしみる美味しさだったのは、体が自然に欲していたのでしょう。

ラストナイトについに食べたキャビアは格別でした!

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また第二弾も報告します。

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「残暑お見舞い申し上げます」

2018年8月26日

納涼歌舞伎も明日千穐楽を迎えるところまで来ました。

今年の夏は猛暑と自然災害が日本列島を襲い流れてくるニュースに驚かされてばかりで、連日休みなく舞台出演している身としてはお見舞いを申し上げることしかできません。

劇場にご来場くださった皆様には、日常を離れ楽しんでいただきたいという気持ち日々舞台を努めています。

今月の歌舞伎座は二役努めていますが双方とも初役で新しい挑戦をしています。
「花魁草」は平成23年の8月に福助さんと獅童さんで上演され、その時は今回萬次郎さんが努めてらっしゃる"菊岡の女将お栄"で出演していました。昭和56年の初演以来歌舞伎では二度目の上演でした。私自身も知らない演目でしたので初めて台本を読んだ時によく書けている素敵なお芝居だなと感じていました。
昨年の野田マップ公演「足跡姫」を観に来てくれた獅童さんと、終演後飲みに行った時の会話の中に「花魁草」の話が出て、いつか一緒にやりたいねとお互いにこの演目が好きだということを確認していました。
今夏の納涼歌舞伎の演目選定の過程で松竹の方から獅童さんと一幕お願いしますと提案があった時に色々な候補が出たのですが、「花魁草」は両方の気持ちが一致していた演目でしたので松竹の方も賛同して下さり今回の上演となりました。

演ってよかった!
この一言に尽きると思います。北条秀司先生は女性を書くことに長けてらして"お蝶"という役の気持ちの移り変わりが見事に描かれています。毎日演じていて、毎回その日その日の"お蝶"が息吹いています。共演の獅童さん幸四郎さん梅枝さんもそれぞれ役の息吹が感じられ素晴らしい舞台になったのではと自負しています。
獅童さん演じる幸太郎がまた芝居の世界に戻って行ってしまうということを感じ始めてから、その悲しさを相手に隠し続けるところは日々表現が変わっているかもしれませんが、"お蝶"という人物の人生を表現していることは楽しくもあり面白くもあり日々充実しています。
作品との出会いは運命みたいなものですが、いい作品の出会えたと喜んでいます。

「雨乞其角」は若手の皆さんをお客様にご紹介の意味も含めて選ばれた演目です。
私自身も普段あまり共演できない皆との舞台は新鮮です。
この演目は藤間流宗家の演目で藤間会で素踊りで上演されたのみで歌舞伎の演目として衣装とかつらをつけての上演は初めてです。
宗家勘十郎さんが道具に趣向を凝らしてくださり風情のある一場となったと思っいます。
大道具さんが下絵を持ってきてくださった時に隅田川の絵がありなにか物足りない気がしたので中村座とスカイツリー(に見立てた火の見櫓)を書き足してもらいました。
舞台上手(右)に中村座、下手(左)にスカイツリー(に見立てた火の見櫓)が描き込まれています。気づいた方はいらっしゃらないと思うのですが、ちょっとした遊び心です。
これから10年20年後の歌舞伎を背負って立つであろう皆さん。お客様同様私も楽しみです。

さて私事ですが母校・慶應高校の甲子園出場に胸踊らせ歌舞伎座の楽屋から声援を送っていましたが残念ながら二回戦敗退となってしまいました。残念ではありますが画面に写った後輩たちは達成感に溢れ人生の中で得難い貴重な体験をしたと思います。出場できなかった部員のみんなそして応援してくれた学友達と生涯の友としてこの経験を活かしてほしいと願っています。

また先日、津川雅彦さんの訃報に接し心よりお悔やみ申し上げます。
芸能の世界に生まれた先輩として良きアドバイスまたエールを沢山送ってくださいました。
幼少の頃より歌舞伎とも接しご自身の役者・演出家としての感覚でやさしく歌舞伎を見てくださっていました。心から芸を愛してらしたのだと思います。今年亡くなられた奥様の朝丘雪路さんも日本舞踊深水流の家元としても活躍され父も何度も共演をし深川マンボという名作を生み出されています。宝塚では母とほぼ同期でしたので身近に感じていました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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「祖父の命日」

2018年4月15日

4月13日は昭和58年に亡くなった祖父2代目鴈治郎の命日です。
35年の月日が流れました。

10日に始まったコクーン歌舞伎の稽古が台本の進捗の都合で休みとなったので、まだ観れていなかった「リメンバーミー」を観るためオープンしたての日比谷ミッドタウンに足を運んできました。
地下鉄の駅とも直結しているので人の数は多いのですが銀座SIXのオープンの時程ではありません。ゆっくり見て回ったわけではありませんが、飲食店に力を入れている印象です。

「リメンバーミー」は今年のアカデミー賞の長編アニメの受賞作ですのでディズニー作品という事もあって楽しみにしていました。
祖父の命日に観ることになったのも何かの縁でしょう。
まさに自分の祖先とのDNAの繋がりの物語で、涙腺を刺激される方は多いのではないでしょうか。映画館の中ではすすり泣く方もいらっしゃり、亡くなった身内が脳裏に浮かび命日だからという訳ではないのですが同じ仕事に就いている事に改めて感謝し嬉しい気持ちになる後味の良い映画で期待通りでした。映画に不可欠な音楽も心地よく、ディズニー映画のお客様を楽しませる力は安定しているので見逃せません。

映画館の客席が本編開始とともに暗くなる瞬間が大好きです。スーと違う世界に引き込まれていく感触。魔法にかかった瞬間です。
今回も必需品のポップコーンと共に約2時間の夢の世界へ誘われて来ました。

祖父の命日に祖父をそして祖母や身近で亡くなった皆んなを思い出しながら帰路につき、素敵な作品に出会えて自分なりに供養ができた良い日となりました。

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「観劇1週間」

2018年4月 8日

4月2日上七軒「北野をどり」
3日宮川町「京をどり」
5日松竹座「ワンピース」
6日御園座「廓文章 吉田屋」「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」

コクーン歌舞伎の台本が上がってこないのでこの時間を利用して色々観てきました。
客席に座るのは楽しいですね。そして客席に座らないとお客様の気持もわからないなとつくづく感じます。
ただ歌舞伎を観に行くと役者の感覚というか劇評家の感覚というか演出家の感覚というか楽しむ上にいろんなことを感じながら観てしまいます。

御園座の「廓文章 吉田屋」は甥の壱太郎が夕霧で出演していること、そして玩辞楼十二曲の一つであり私にとって家の芸でもあるのでどうしても新幸四郎さんがどのように作り上げているか必ず観たいと思っていました。
玩辞楼十二曲では常磐津での上演となりますが関東の演出は清元での上演となります。
やはりその違いは大きく、観た後の最初の感想は比較するものではないなと言う気持ちでした。
伊左衛門の人物像の作り方も違い、また上方の空気感は清元では出づらいように思います。間のとり方、台詞の粘り方、体のこなし等大きな違いがあります。

私自身は、今後伊左衛門を演じる時に清元での上演はおそらく機会がないと思いますのでとてもいい経験でした。改めて自身の「廓文章 吉田屋」を作る時に大事にしなくてはいけないポイントも見つかり芝居を観ることの重要性を再認識し次第です。

前後しますが「北野をどり」と「京をどり」は4月の公演に出ていると決して観られないので嬉しい限りです。
芸妓さんたちは踊り・長唄・鳴物と普段から常に稽古に励んでいます。その成果を見せるときでもありこちらも楽しみにしていました。前半は舞踊劇で後半は舞踊の構成はどの花街も大抵同じです。
上七軒は今年は動物が出てきて狐と狸の争いに天神さまが出てきて丸く収める筋で作が斎藤雅文さんだったのには驚きでした。新派の演出家で私の「恐怖時代」も演出してもらった方なのでいろんな場所で仕事してるんだなとへんな感心をしてしまいました。
楽しく拝見してました。巧拙よりも演者も観客も理屈抜きで楽しむ事が最も必用なことなのではないでしょうか。開演前にお茶席でお茶を頂きしっかり楽しんできました。

宮川町の「京をどり」は初見なので有名な宮川音頭が何より楽しみでした。
大人数でのテンポの良い群舞、その派手さは見事なもので一見の価値は有ります。
それと同年輩のふく葉さんの踊り、素敵でした。地唄舞を川口流家元故川口秀子さんと吉村流家元故吉村雄輝さんにお稽古をして頂いた経験から正月の松竹座で金屏風だけの舞台面で燭台を立てて地唄舞を舞ってみたいと常々思っていたので、ふく葉さんの舞台に触発されました。是非演ってみたいですね。芸を積み重ねてきた素晴らしさを堪能しました。

「ワンピース」ついに観れました!
Dの配役で猿之助さんがシャンクスで尾上右近君のルフィ、ハンコックの回です。
正直、ワンピース世代ではないのでキャラクターに対する思い入れは決して大きいとは言えないのですが、舞台は楽しかった。お客様の盛り上がりも凄くタンバリンを持って立ち上がっての反応はゆずの曲もノリの良い素敵な曲でさながらコンサート会場でした。
スーバー歌舞伎という命名は以前から的を得ているなと思っていましたがまさにスーバーだったと思います。役者も生き生きしていて客席に十分その熱意は伝わっていました。
先日の「東海道四谷怪談」も、、、いのうえ歌舞伎の劇団☆新感線も花組芝居も滝沢歌舞伎も、もとネタは歌舞伎ですから我々歌舞伎の可能性の広さに改めて気付かされます。

これも以前から思っていたことですが、シェイクスピアもTシャツとGパンで演じることもあるわけですから、歌舞伎座で洋服の古典が不可能ではないのかもしれません。
などと終演後ミナミの行きつけの店で夢想の中に浸っていました。

最後に「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」
皆さんは映画1人で見る派ですか、それとも複数で見る派ですか。
私は圧倒的に1人で見る機会が多い側です。塩味ポップコーンと共に。
年間を通して自宅のケーブルTVやTSUTAYAやネットでかなりの数の作品を見ていると思います。
「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」監督スティーブン・スピルバーグで出演メリルストリープとトム・ハンクスとみただけで絶対に見ようと決めていました。
期待を裏切られることはなかった。アカデミー賞の最優秀主演女優賞にまたノミネートされた演技は相変わらずリアリティに溢れ観客を引きつけてやまない。
ストーリーの運びや緊迫感、見た後の爽快感、ラストシーンの上手さ。
お薦めします。勿論、人それぞれ好みがありますが、私は大好きでした!

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