「「曽根崎心中」」

2021年12月15日

南座顔見世興行にて坂田藤十郎三回忌追善狂言として「曽根崎心中」を兄の鴈治郎と上演させて頂いてます。14年振り3度目の"お初"です。
1階ロビーの鴨川側で父の舞台写真の展示もしていますのでご来場の際には是非ご覧下さい。
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楽屋の化粧前には篠山紀信さんの撮ってくださった父の"お初"の写真を置き舞台に臨んでます。
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父が亡くなったのは昨年の11月12日ですが顔見世は来年の干支寅年の興行という位置付けですので三回忌追善となります。
追善と銘打って父が1401回努めた"お初"を演じることは役者として名誉なことでもありまた重責を担うことです。
"お初"は14年前に演じて以降何度か演じたいと思った時がありましたがお父様の許可を得てくださいと松竹制作の方に言われ何度か諦め、そのうちに壱太郎が演じた時にもうこの"お初"は演じる機会が無くなったのではと感じて頭の隅に追いやっていました。
実は今回の上演で幕切れの演出を新しくしているのですが、これは私が次回演る時には必ず取り入れようと心に決めていた演出です。
父と兄の「曾根崎心中」ロンドン公演を客席で見ていた時に、カーテンコールは何度も続いたのですがスタンディングオベーションにならず、その疑問を一緒に見ていたイギリス人の方にぶつけると、「芝居が終わってないからだよ」と即答されたのです。死ななかったじゃないって言われ時に次回僕がやる時には死のうと決めた瞬間でした。イギリス人と日本人の感性が違うことを考慮しても僕の中では死ぬ演出が脳裏をよぎりました。
父には一度もその話はしませんでした。父は初演からの宇野信夫先生の脚色された台本と演出を生涯貫いていたのです。途中で幕切れに死のうとは一度も思はなかったのではないかと今では想像するしかありません。
私自身は最後の道行は追い詰められた2人にとって離れ離れになりそれぞれ捕まったり、嫌な男に身請けされたりするよりは永遠に2人でいられる最高のハッピーエンドと位置づけたかったので終始塞いでいる事はなく、時折笑顔を見せています。そして、死を見せることでそのハッピーエンドが成就するという思いで連日舞台に立っているのです。
「恋の手本となりにけり」という宇野先生の幕切れは、近松門左衛門の「森の露とちりにけり」から変えられています。そして初演からこの「曽根崎心中」の鬘は、現代劇で使われる網のかつらを使用してるのですが、歌舞伎の女方というより女優さんが演じるように作品を作り上げようという意図があったのではないかと拝察しています。
私は近松の原作に少し近づけた一つの新しい試みですが、自分自身の感触は良く、この先再演の機会があったらもっと練り直して、近松の原作に近い形での上演もひとつの選択肢ではと思っています。
そうすると60分で完結するのでより上演頻度が増えるのではないかとも思ってもいます。
古典の作品でも初演の時のように練り上げる作業を続けていきたいのが私の作品に向かう基本になっているのです。
23日の千穐楽まで日々"お初"を体で感じて父が通った道を引き継いでいく責任感をかみしめています。

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コメント

扇雀さん、こんばんは。
いよいよ観劇の日が近づいてきました。
19(日)に南座にうかがいます。
亡くなった私のお婆ちゃんが藤十郎さんの大ファンだったのでその分もしっかりと観劇させて頂きますね。
楽しみにしています!

扇雀さん、こんばんは。
9日に拝見して、帰りに1階の藤十郎さんのお部屋にも寄りました。
なるほど、藤十郎さんと扇雀さん、演者さんによって作品が変わってくるのですね。それはよく耳にする話ですが、もうひとつピンと来なくて、ブログを拝読して「曽根崎心中」の捉え方が広がりました。ありがとうございました。
壱太郎さんは当然お初を演じていくと思いますが、扇雀さんがもっと演じてくださらないと、つまらないです!
立役のお仕事もなさるので、お忙しいとは存じますが、
もっともっと演じてくださいませ。
こちらも寒いです。京都も冷えているのではないでしょうか。京都には学生時代にもよく行きましたし、夫が京都に単身赴任していたことがあり何度か訪れました。学生時代の頃のほうが気温が低くて寒かったように思います。
いずれにしましても、千穐楽までどうぞくれぐれもご自愛の上お勤めくださいますよう、お祈りしています。

扇雀さん、61歳のお誕生日おめでとうございます!
ますますのご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げます。
私は昭和34年1月生まれです。
二人とも寒い時季に頑張って産んでもらい、頑張って生まれてきたのですね!

扇雀さん、お誕生日おめでとうございます!
本日南座観劇させて頂きました。
『曽根崎心中』初めて観劇しました。
悲しいお話しですが凄く良かったです。
また来年もたくさん歌舞伎を観に行きたいです。

お誕生日おめでとうございます。
朝日デジタルのお話も拝聴しましたが、先週、トークをうかがう前と後、2度観劇するとことができ、観る気持ちにも少し変化がありとてもよい経験になりました。余韻を残し観る側に2人の心情も委ねるような今までの形もとても日本らしいという気がして良いと思いますが、扇雀さんが新しくなさった今回の形がとても美しく、それが2人の心を表すようで、悲しい、哀れ、ではなくこれがハッピーエンドなのだと、より感じることができました。
これからも、折々に演目や役についてのお話をうかがうことごできたらうれしいです。

扇雀さん、こんばんは。
本日初めて南座にうかがい、久々に扇雀さんの舞台を拝見しました。(以前は東京在住でしたので歌舞伎座などで舞台拝見したことはあったのですが‥)
厳しい時期を経て舞台鑑賞できる喜びをかみしめたと同時に、ブログにありますように深い覚悟と想いをもって演じられていたと知り、大変感慨深いです。
次の曽根崎心中がどのように変わっているのかとても楽しみです。
そしてお誕生日もおめでとうございます。ずっとファンなのでこのような日にうかがえて感激しております。
ここ数週間でかなり寒くなりましたのでお身体に気をつけて、お過ごしください。
また次の作品も楽しみにしております。

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