中村扇雀の公式ブログ

2014年8月記事一覧

「お休みに入りました」

2014年8月29日

今年は5月と9月が歌舞伎の舞台お休みです。
歌舞伎は通常25日間休み無しの公演でお稽古が3日間から5日間平均的に有りますので公演が続くと実質長い期間お休みがありません。
芝居中に翌月の台詞覚え等の準備を始めますので千穐楽が近づくと達成感より次の心配で憂鬱になり、短い稽古期間中はかなり気が立ってくるものです。
しかし、年2回の開放される時を迎え千穐楽の翌日から自宅を離れます。
10日間程ですが、思考を休みたいと思っています。

けれど8月の反省や10月以降の芝居のことは浮かんでしまうんですね。

話は変わりますが、8月歌舞伎座に楽屋見舞いを色々頂き皆様ありがとうございました。

中で1つだけなのですかお気に入りとして紹介致します。

「招き猫マドレーヌ」
招き猫マドレーヌ.jpg

私は焼き菓子好きでマドレーヌも好きなお菓子の1つですが、この「招き猫マドレーヌ」は可愛いのと美味しいのと兼ね備えている素敵なお菓子です。
猫好きの方は食べるのが可哀想になり躊躇されるかもしれません。
飾っておきたいのですが食べ物ですのですのでそうもいかず、とにかく蓋を開けた時に嬉しい気持ちになりました。

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「千穐楽ありがとうございました!」

2014年8月28日

8月納涼歌舞伎が千穐楽を無事迎えました。

4役を23日間しっかりやりぬきホッとしています。

大勢の方にご覧いただき誠にありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

恐怖時代を上演できたことは次に繋がる試みでした。
この8月公演は毎年何か大きな収穫のある公演ですのでこの先も色々な挑戦をしていきたいと思っていますのでこれからも宜しくお願いいたします。

好きな写真なのですが

2014年08月28日15時42分58秒.pdf003.jpg

死んだあとのこの写真
目を開けるべきか悩んだのですが、私は喜んで死んで目を開けていたのですが伊織之介は安らかに目をつぶっています。

どちらが正解かが無いところが芝居の面白さですね。

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「残り3日間となりました」

2014年8月24日

近江のお兼.jpg

8月納涼歌舞伎もあと3日となりました。
父が22日の国立劇場出演の為に静養先のハワイから19日に帰国して昨日の23日にまたハワイに旅立ちました。23日の朝見に来てくれるかと思っていましたが、強行スケジュールということも有り父が33年前にやって以来久し振りに復活した「恐怖時代」でしたが、観ることなく静養先に戻りました。やはり健康が一番ですから。

さて、公演も千穐楽が近くなると次の舞台の準備にとりかからなくてはなりません。しかし、来月は舞台が休みですので5月以来台詞を覚えることから開放され、あと3日間全力で舞台に集中できます。これは、本当に嬉しい事なのです。

ただ、10月の舞台の準備もしなくてはいけません。
初役の「近江のお兼」の衣装を決めなくてはいけないのですが、写真が松竹衣装の方が持ってきて下さった「近江のお兼」の衣装です。歌舞伎には日本演劇衣装と松竹衣装と2社が衣装提供していてそれぞれの役者さんがどちらかを専属で使っています。私は松竹衣装なのですが、「近江のお兼」は"お三輪"が着る「十六むさし」という衣装がイメージであったので写真の衣装を見せて頂いた時はちょっとイメージが違いました。
「近江のお兼」は別名「團十郎娘」ともいわれ「「十六むさし」で七代目團十郎初演と聞きますので「十六むさし」がいいかなとも思っていますし、勘三郎追善でお兄さんは「十六むさし」を着てらした記憶があるので、多分この衣装は置いておき「十六むさし」にするつもりです。
ただ舞踊は振付師の方がいらっしゃるので、今回は藤間宗家ですのでご相談をしてから決めたいと思っています。

非常に難しい踊りだと思っていますので挑戦できることは楽しみです。

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「「恐怖時代」と戦って」

2014年8月21日

このブログは今月「恐怖時代」をまだご覧になっていない方で千穐楽までに見る予定の方はストーリーをあかしてしまいますのでご覧になったあと読まれることをお薦めします。

舞台をご覧になった方とご覧になる予定のない方はお読み下さい。


この作品は初日の上演時間から役10分短縮して2時間15分が現在は2時間6分程になっています。これにはカットをしたのではなく舞台転換が早くなったことや芝居のリズムやテンポができてきたことに起因しています。
初日から数多くの変更点がありそれにより芝居も変わってきています。
血の出方も一定ではありません。仕掛けの問題です。今日まで3回梅野の血の出方が予定通りに行きませんでした。一度しかご覧にならないお客様が殆であることを考えると技術的なミスは無くしたいと願っています。
今日まで16回務めたことになりますがまだまだ奥が深く、一言一言の台詞の持つ意味やバックボーンそれによって無限大にある台詞の言い方からベストを探すことの難しさに直面しているのが現実です。特に第一声の「梅野」の台詞が難しいのです。
連日のように細かい発見により微修正を繰り返し作品の持つ魅力を舞台上に再現する努力をしていますが、原作どおりに上演すると4時間以上は掛かる作品です。そして、初版は発禁になったほどト書きの描写がグロテスクでとても現実に谷崎潤一郎の原作そのままを歌舞伎で上演出来る内容ではないようには感じています。
しかし上演を決めた以上は正面から向き合わなくてはいけません。
大半のお客様は原作をお読みになっていらっしやらないと思いますので、ご覧になったあとに何でこんなものやるのと思われることに対しての心配が一番でした。
耽美主義と言われる谷崎ですから、美を追求する中でこの作品のように人の欲と死は外せなかったのでしょうか。お銀の方と伊織之介の関係は純粋だったのでしょうか。原作ではお銀の方が産んだ照千代は死にませんがお銀の方と伊織之介は死を選びます。その死に動機等はいらないのだと思います。2人の世界に陶酔するために死を選んだのでしょう。しかし見ているお客様に納得して頂ける物を提供するにはという疑問が湧いてきました。照千代を殺したのは逃げだったのかもしれません。
朝の11時から上演するには向いていない作品であることは感じています。3部の最初に上演して何か明るい踊りでお客様を送り出す事を望んでいたのですが、「乳房榎」の凱旋公演が決まっていたので今回の順番になってしまったことも演出の齋藤さんとの相談で結末に変化を付けた要因の1つなのです。
照千代を殺すのは齋藤さんのアイデアで、殿様が首を持って下げてお銀の前に放り出すアイデアでしたが私の提案で珍斎に待たせることに致しました。

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原作をお読みになった方にはこの場をお借りしてお詫び致します。
お銀が子供のことなどそこまで思っているか!とのお言葉も聞こえてくる気が致しますが、そこは最期切り離して伊織之介と2人で選んだ死の気持ちに浸っているつもりです。
微調整の中に照千代の首の顔もあります。当初目をつぶっていたのですが、今は目の開いている生首です。序幕の寝所でお香を舞台上に多く焚いているのですが、客席まではあまり届いていないかもしれません。
玄澤の最期もゆっくり死んでもらうように微調整しました。お銀と伊織之介の見つめ合う時間を微妙に長くしたり、首に突き刺す刀を当初1本は短く1本は長かったのですが2本とも長いものに替えました。多くの微調整を施しています。
その他にも台詞のボリュームや声の高さ等も様々なことでお銀の方に近づく努力をしています。初日が開いてからも原作を読み返してカットした部分から活かす場所はないか探ったりもしています。3場の幕切れの木頭も靱負からお銀の方に変更いたしました。

試行錯誤してベストなものと思いつつ芝居が変わってきています。
最初からベストを見せろとおっしゃると思いますが、5日間の稽古であったことや原作の半分の時間で上演することなどの理由で変化してきています。またお客様の反応を受けての成長もあるかもしれません。それが進化に繋がればと願っています。毎日その日のベストを目指していますので、変化していくことはお許し頂きたいと思います。

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「8月歌舞伎座納涼歌舞伎パンフレット」

2014年8月20日

今月の舞台写真掲載のパンフレットが22日より販売となりますので私がお名前を書いてサインをしたものを販売させて頂きます。

一部¥1,400(送料・消費税込み)

ご希望の方はお名前ご住所を明記のうえ下記のアドレスに部数を添えてお申し込み下さい。
入金方法を折り返しお知らせします。入金確認後に郵送させて頂きます。

ご応募お待ちしています。

suzumenokai@senjaku.com

締め切りは27日千穐楽正午(12時)とさせて頂きます。

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「今月2部・3部舞台写真」

2014年8月20日

2部「輝虎配膳」お勝

この役は同じ近松門左衛門作の「吃又」の女版というと乱暴ですが、姑の窮地を救うために琴の律に合わせてしゃべる役です。初役ですが、琴を弾きながらの部分で目線が手元に行ってしまう事を克服しなくてはいけない役です。三味線ですと手元に目が行かずに弾けますが、琴は13弦ありますのでついつい手元に目が行ってしまいます。輝虎候に対して義母の命乞いをする気持ちだけは切らさないように務めています。
何故突然琴なのかがお客様に説明が無く唐突なところが歌舞伎らしいといえば歌舞伎らしいのですが、説明は必要かなと思ってはいます。

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「たぬき」おせき

2度目の"おせき"です。幕開きにちょっとの役なのですが、その後主人の金兵衛さんが生き返り、事前に夫婦の関係がお客様にイメージでできてなくてはいけないので大事な役割です。
世話物のこういう役どころは好きなんです。主人役の寿(ひさし)さん(三津五郎さんの本名)も「ヒロちゃんの女将さん大事なんだよ。いいよ。」と言ってくださっているので前の"お勝"からは早拵えですが、楽しく務めています。

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写真:歌舞伎座

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「常磐津一巴太夫さんご逝去」

2014年8月19日

7月大阪松竹座の「女夫狐」の舞台でご一緒した常磐津一巴太夫さんがお亡くなりになりました。
先月の千穐楽が最期となるとは夢にもおもっていませんでした。父より1歳年上でしたがまだまだお元気で舞台を務めていらしたので訃報に触れ驚いています。

私が大学を出て歌舞伎の舞台に立ち始めて二年目から常磐津のお稽古をして頂き、色々とご指導頂きました。また玩辞楼十二曲の「吉田屋」は何度もご一緒させていただきましたが、お師匠さんの艶のあるお声をこの先お聞きできないと思うと残念でなりませんし、上方歌舞伎にとっても大きな損失であることは間違いありません。

来年の兄の鴈治郎襲名の「吉田屋」でもお師匠さんの語りが楽しみでしたのに寂しい限りです。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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「今月の1部舞台写真」

2014年8月19日

お盆も終わり舞台も残り9日間となりました。

今月のパンフレットに掲載の参考舞台写真を掲載します。
22日より写真入りパンフレットが販売になります。
サイン入りパンフレットをご案内致しますのでご参考にして下さい。

「恐怖時代」 お銀の方

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写真:歌舞伎座

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「8月納涼歌舞伎開幕」

2014年8月 7日

7月松竹座は大勢のお客様ご観劇下さりありがとうございました。
7月27日に大阪の千穐楽を終え29日より納涼歌舞伎の稽古が始まりました。
29日は33年振りの上演となる「恐怖時代」の読み合わせからの稽古開始です。
この作品を上演するにあたっての話はブログの「恐怖時代」を参照して下さい。
演出家の齋藤さんは6月の打ち合わせとは別に2度大阪に足を運んで下さり台本の修正などを含め色々と打ち合わせを致しました。
29日出演者全員揃っての読み合わせが始まり台本に息吹が吹き込まれていきます。
31日から立ち稽古となりわずか5日で見たことのないお芝居の初日を迎えます。
舞台稽古は通常の歌舞伎ですと1回のみですが、今回の「恐怖時代」は3日と4日計2回行いました。他の演目の稽古もあり、3日は午前3時、4日は午前0時に迄稽古が及び疲労感が少し残る中で初日を迎えることとなりました。
5日は哲明(のりあき)さん(勘三郎さんの本名)の月命日でもあり、納涼歌舞伎は毎年楽しみにしていたお兄さんの思いを胸に迎える初日です。
前日までお客様なしの稽古を続けていた「恐怖時代」がお客様の反応の中進んでいきました。
思ってもいない反応を受け一瞬集中力に隙ができてしまった部分があり初日は手探りとなってしまいました。どの箇所かはネタバレになるので記載いたしませんが、演出の齋藤さんと目指した美しい舞台。一人ひとりのキャラクターを明確にすること等は成功したと思っています。
谷崎潤一郎の原作を忠実に再現より、8月の朝一番の演目と言うことを大事にしたので原作に加筆してあるのは確信犯です。
昨日2日目を迎え、お客様の反応にも驚かず集中して務めることができました。
33年振りの上演ですが、新しいものができたと自負しています。以前は血の量がとても多く評判になりましたが、今回は極力減らしています。ただ、大勢人が死にで行くということは申し上げておきます。原作どおりですと4時間は超えると思われる作品ですのでだいぶカットしてあります。それでも前半は暗い場面でストーリーや人物説明に重点が置かれますので長いとお感じになる部分があるかと思いますが、テンポを意識しつつ芝居を進めています。
舞台は生き物ですので千穐楽迄この作品がどう成長していくか楽しみです。
初日までに色々と尽力して下さったすべての方に感謝しつつお客様の心に残る舞台を目指しました。
2部の「輝虎配膳」は短い作品ですが主演の橋之助さんがかねてから上演を希望していた作品です。初役の"お勝"は琴を弾きながらの芝居ですので「土屋主税」の"お園"以来の琴に神経が行きます。初日は竹本さんとずれてしまう箇所があり、早急に修正しなくてはと反省しています。
そして「たぬき」の"おせき"は2度目です。出番は少ないのですがお客様がクスッと笑って頂けるところが好きな役なんです。そして3部の「勢獅子」は大勢の出演者でとても賑やかで華やかな一幕です。年齢が上から数えて3人目となってしまい正直ちょっとゾッとしてます。

27日の千穐楽迄大入りが続きますよう劇場でお待ちしています。

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