中村扇雀の公式ブログ

「8月納涼歌舞伎開幕」

2014年8月 7日

7月松竹座は大勢のお客様ご観劇下さりありがとうございました。
7月27日に大阪の千穐楽を終え29日より納涼歌舞伎の稽古が始まりました。
29日は33年振りの上演となる「恐怖時代」の読み合わせからの稽古開始です。
この作品を上演するにあたっての話はブログの「恐怖時代」を参照して下さい。
演出家の齋藤さんは6月の打ち合わせとは別に2度大阪に足を運んで下さり台本の修正などを含め色々と打ち合わせを致しました。
29日出演者全員揃っての読み合わせが始まり台本に息吹が吹き込まれていきます。
31日から立ち稽古となりわずか5日で見たことのないお芝居の初日を迎えます。
舞台稽古は通常の歌舞伎ですと1回のみですが、今回の「恐怖時代」は3日と4日計2回行いました。他の演目の稽古もあり、3日は午前3時、4日は午前0時に迄稽古が及び疲労感が少し残る中で初日を迎えることとなりました。
5日は哲明(のりあき)さん(勘三郎さんの本名)の月命日でもあり、納涼歌舞伎は毎年楽しみにしていたお兄さんの思いを胸に迎える初日です。
前日までお客様なしの稽古を続けていた「恐怖時代」がお客様の反応の中進んでいきました。
思ってもいない反応を受け一瞬集中力に隙ができてしまった部分があり初日は手探りとなってしまいました。どの箇所かはネタバレになるので記載いたしませんが、演出の齋藤さんと目指した美しい舞台。一人ひとりのキャラクターを明確にすること等は成功したと思っています。
谷崎潤一郎の原作を忠実に再現より、8月の朝一番の演目と言うことを大事にしたので原作に加筆してあるのは確信犯です。
昨日2日目を迎え、お客様の反応にも驚かず集中して務めることができました。
33年振りの上演ですが、新しいものができたと自負しています。以前は血の量がとても多く評判になりましたが、今回は極力減らしています。ただ、大勢人が死にで行くということは申し上げておきます。原作どおりですと4時間は超えると思われる作品ですのでだいぶカットしてあります。それでも前半は暗い場面でストーリーや人物説明に重点が置かれますので長いとお感じになる部分があるかと思いますが、テンポを意識しつつ芝居を進めています。
舞台は生き物ですので千穐楽迄この作品がどう成長していくか楽しみです。
初日までに色々と尽力して下さったすべての方に感謝しつつお客様の心に残る舞台を目指しました。
2部の「輝虎配膳」は短い作品ですが主演の橋之助さんがかねてから上演を希望していた作品です。初役の"お勝"は琴を弾きながらの芝居ですので「土屋主税」の"お園"以来の琴に神経が行きます。初日は竹本さんとずれてしまう箇所があり、早急に修正しなくてはと反省しています。
そして「たぬき」の"おせき"は2度目です。出番は少ないのですがお客様がクスッと笑って頂けるところが好きな役なんです。そして3部の「勢獅子」は大勢の出演者でとても賑やかで華やかな一幕です。年齢が上から数えて3人目となってしまい正直ちょっとゾッとしてます。

27日の千穐楽迄大入りが続きますよう劇場でお待ちしています。

コメント(12)トラックバック(0)

コメント

はじめまして、オガと申します。
恐怖時代、初日に拝見しましたが、まだ半ば夢の中にいるような気持ちです。
美しい悪魔に気がついたら自ら魂を差し出していたような、すごい舞台でした!
千穐楽までに、もう一回は観に行きます!
まだまだ厳しい暑さが続きますが、どうぞお身体大切にしてください。

ご無沙汰しております。

初日に第二部、昨日は勢獅子を拝見しました。
輝虎配膳は、お琴を弾きながらのお芝居。とても難易度が高そうだなぁと感じました。また、お琴を弾いているところを拝見するのは初めてで、とても惹き付けられました。
たぬきは、あの冷たい感じがなんとも言えません。
思わず笑ってしまいました。普段、どんな夫婦なのかが想像できます。
勢獅子は、虎之介さんが踊っているところをみつめる扇雀さんにも注目してしまいます。みなさん、楽しそうに踊られていて。パワーをもらいました。
第一部も観に行く予定です。歌舞伎では着ないような衣装の色も楽しみです。

こんばんは。久々にコメントさせていただきます。今年は受験生となりそんなに多く歌舞伎を観に行けないのですが、誕生日が8月ということで16日に、第三部を観に行きます。最近は忙しく歌舞伎を観に行けなかったので、とても楽しみにしております。恐怖時代も観たかったのですが行けそうになく、とても残念です。ですが、勢獅子など楽しませていただきます。今は暑く、大変だと思いますが頑張って下さい!

オガさん
はじまして。コメントありがとうございます。「恐怖時代」を上演できてよかったと思っています。ご観劇心から感謝致します。

梅☆さん
ご無沙汰いたしています。衣裳ですが、最初に言っていた歌舞伎できないようなと言うのは実は橙色の着付けで序幕に着ようと思っていたのですが、その後演出家の方や自分の考えもありやめること致しました。申し訳ありません。水浅葱という水色の薄い感じの物を着ています。しかし、芝居は橙色を着ている感じで務めています。また感想をお寄せ下さい。

チャックさん
コメントありがとうございます。恐怖時代残念ですが、また上演機会があるかも知れませんので、その時には是非見て下さい。NY凱旋の「乳房榎」は凱旋ならではの演出もありますので楽しみにして下さい。

あの衣裳の色は、水浅葱というのですね。
とても綺麗でした。
恐怖時代は千穐楽にも拝見する予定なのですが、早く観たくて先週幕見しました。
お銀の方、美しくて素敵でした。伊織之介とお銀の方の純愛が、一度観ただけではよくわからなくて。また、千穐楽の前に観に行けたら、、、と思っています。
原作も読んでみます。

梅☆さん
見せ衣裳と言って衣装やさんとの打ち合わせで幾つかの色を見せてもらい、希望の色や柄で舞台で使えるように仕立ててもらいます。ただ、楽屋で見るのと舞台で見るのではまたイメージが違ってくることも多いので舞台上をイメージして選ばなくてはいけません。役のイメージを活かすためにも衣装はとても大事なファクターなのです。伊織之介とお銀の方の結びつきは純愛ともまた少し違う稀有な関係だと思います。またブログ上でお話していきたいと思います。

今日、第三部を拝見させていただきました。勢獅子はとても華やかで扇雀さんの芸者さんもとても綺麗でした!ちょうど扇雀さんが座ってみているときも笑顔で、魅入ってしまいました。乳房榎も面白かったです。
千秋楽まで体調にお気をつけて頑張って下さい!応援しています。

ひき続き、舞台は毎回拝見させていただいております、恐怖時代は多分渾身の作、と目を付け、良い席取らせていただきました、後半戦なので皆様の評判も気になるところです。

チャックさん

ご観劇ありがとうございます。あと10日頑張ります!

tamさん

ありがとうございます。恐怖時代は日々発見があります。5日間の稽古で初日が開きましたので舞台で気づくことも多く芝居の面白さや難しさに改めて浸っている毎日です。楽しみに劇場にいらして下さい。

コメントする

は必須項目です)

 サイト上には表示されません
   
 

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://www.senjaku.com/cgi/mt4/mt-tb.cgi/485