中村扇雀の公式ブログ

「松竹座千穐楽と三津五郎のお兄さん本葬」

2015年2月26日

昨日2月松竹座四代目中村鴈治郎襲名披露興行が千穐楽を迎えました。
2ヶ月に渡る襲名披露興行か無事に終わったことは兄もほっとしている事と思います。
劇場に足をお運び下さった皆様、また関係各位に心から御礼申し上げます。

今月の「嫗山姥」は初役ではありましたが評判も上々で1つの財産が増えた気がしています。音楽劇としてのテンポと間が何よりも楽しく、その心地よさがお客様に伝わることの面白さに満ちている演目です。
次回上演の時は揚幕への引込みを考えています。義太夫の言葉どおりですと幕切れは「行方も知れずなりにけり」と立ち去ってい内容になっていますのでこれも1つの方法かなと思っています。
立回りへの変化も面白く歌舞伎味満載ですので是非再演をと願っています。

もう一役「曽根崎心中」の"九平次"ですが演っていて気持ちのいいものではありませんが敵役に徹すれば徹するほど主人公2人の悲劇が際立ちますので、徹底的に嫌な人物を作り上げました。それが思いの外評判がよくニンではないと思っていたので、自分としては複雑な気持ちでした。
しかし一層"お初"への思いが募ったことは間違いありません。

そして、昨日は寿(ひさし)さんの本葬が執り行われましたが、松竹座公演の為出席が叶いませんでした。大阪の地でご冥福をお祈りしました。
勘三郎のお兄さんが後輩の精神的な支えであるとするなら三津五郎のお兄さんは技術面での支えだった気が致します。今更ながら去年の10月「勘三郎追善興行」の初日に「近江のお兼」終演後に楽屋に入ってきて下さり「良かったよ」と言って頂き、その後お兄さんならではのアドバイスを下さりました。舞踊の苦手な私に折に触れアドバイスを下さり、そんなお兄さんがいらっしゃらないことは、大きな損失です。

お兄さんはシーバスリーガルがお好きだったのでそのお酒を横に置き大阪北新地のKというお店でお兄さんを偲んで飲もうと思ったところ、「ボトルがございます。」とお店の方が出してきて下さいました。いずれ巳之助君がそのボトルを引き継ぐことと思いますが、昨晩は横に置き献杯致しました。

改めてご冥福をお祈り致します。

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コメント

1、2月と盛りだくさんの内容で楽しませていただきました。近江のお兼、自分的にはあの日の昼の部で一番心に残ったので、本当に贔屓目ではなく、期待以上に良かったんですよ、師匠のお墨付きだったとは、。明日はお天気良いといいですね。

2月のお昼の部拝見しました。夜の部は残念なことに拝見出来ませんでしたが、口上も拝見出来て幸せでんした。また初めて拝見する演目ばかりでしたので私の中でまた歌舞伎演目のページが増えて嬉しく思いました。
また坂東三津五郎さん本当に寂しく思います。先日テレビでお城の番組に出演されてて早く舞台へ復帰出来たらいいのになと思っていたのに本当に残念に思います。
扇雀さん本当お身体にはお気をつけ下さい。

tamさん

1、2月は確かに色々な役を演りましたが、僕ならではと思っています。今更ながら何でも演るんだなと思っています。

ナナさん

「嫗山姥」を観て頂けて嬉しいです。あの演出での上演は父がもう演らないと思うので私だけの演出ですから貴重だと思います。身体の心配して頂いてありがとうございます。

どうも、役者さん側も何が人気を集めて、と読めない部分が沢山あるのでしょうね、歌舞伎の舞台を続けて見たい気持ち、そういう意味もあります、どこに当たりがあるか、まったく読めません、笑。先日仁左衛門様の本をたまたま見つけて読んでいたら、やっぱり自分がやりたくない役、断った役が当たってしまって、という言葉がありましたもん、、見る側もまったく予測つきません、通い続けて美味しいもの見つけるしかないです、笑。

役者さん、芸域広がって何の損もないですから、今後も陰ながら応援しておりますよ!

tamさん

率直なご意見ありがとうございます。大好きなロバート・デ・ニーロもなんでこんな映画にと思う時もあります。歌舞伎の歴史の中にも消えていった作品は多くあると思います。去年1年のテレビドラマや映画や舞台の作品だけでも数百か四桁になるかもしれませんが、肝心なことは作り手の気持ちの持ち方だと思っています。流れ作業にならないこと、慣れないことが何よりも必要だと思っています。

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