中村扇雀の公式ブログ

「かつら合わせ」

2013年3月19日

先日6月国立劇場公演のポスター撮りの為にかつら合わせをして来ました。

鬼女の役は初めてですのでかつらの土台がありませんので新しく作らなくてはなりません。

かつらの一番下の土台で銅できています。この縁の部分を特殊な鋏でカットを入れて自分の顔とのバランスを合わせて行きます。この写真の周りに床山さんとかつら屋さんの二人がいて床山さんは楽屋でかつらを結い上げ役者さんにかつらを乗せに来てくれる方で、かつら屋さんはこの銅に羽二重を貼り毛を植えていきかつらを完成させる方です。人の顔は左右の面積が違い、自分の顔の特性を知っていないとかつら合わせがスムーズに行きません。また、我
役々によってクリが変わってきます。
このクリというのはかつらの縁の線のことを言います。また小額(こびたい)といって眉毛の延長線上の生え際が少し出ていますその部分を小額(こびたい)といい、この高さとかきつさ等は役の性格に合わせていきます。
かつら屋さんと床山さんと私の三者で色々と相談して一つの土台が出来上がります。いってみればこの時点で役作りが始まるといっても過言ではありません。
鏡の中で化粧をしてかつらを乗せた状態をイメージしていかなくてはなりません。
かつら合わせは、自分で化粧をするのですから大きな意味での化粧の一部といえるでしょう。非常に大事な作業です。

かつら合わせ1.jpg

ちょっと怖い顔をしていますが鬼の顔になってるかもしれません。役のイメージを作っている為です。

こちらは前ジテの更科姫の土台です。

お姫様なのにこっちも怖い顔してますね(?)

かつら合わせ2.jpg

この女性のかつらはフジといって真ん中の富士額の部分が重要になってきます。この形で年齢や身分等を表現していきます。甘くするきつくするという言い方で尖らせたり丸みをつけて低くしたりして役柄に合わせていくのです。

あまりかっこいいものではありませんがここから役作りが始まっているのです。

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コメント

かつらの土台が銅なのは知っていましたが、こんなに細かく調整なさるのですね。
ここから役作りが始まるなんて、素敵です。
こういう裏話?みたいなの、好きです。

中々拝見できないお写真を見せて頂きありがとうございます

出来上がったかつらは
同じお役をされる時にはずっと同じものを使われるのですか?

それから
出来ましたらお衣装についてもご紹介下さいませんか?

扇雀さんの文章は、とてもわかりやすくて、本でも理解できなかったことも、すっと頭に入ってきます。
歌舞伎の衣装やかつらに対する見方も変わってきました。ありがとうございます。

くらりさん

疑問点があればいつでもお尋ね下さい。分かる範囲でお答えします。

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