中村扇雀の公式ブログ

「和事の芸」

2013年11月 8日

今月の「沼津」の十兵衛は鴈治郎家にとっては所縁の深い役どころで、和事のテクニックを駆使しなくてはならない役の1つです。

和事の役々の中では「吉田屋」の伊左衛門が最高峰に難しいとかつて父に言われた話は致しましたが、今回父の十兵衛を見ていて伊左衛門は勤めたことがあるので自分の経験として判るのですが、この役のほうがテクニックはより必要な気が致します。

台詞の言い回し(イントネーション)・強弱(ボリュウム)・世話と時代の使い分け・心の変化
等々ハードルは高い役です。
いづれ勤めたい役ですので父のセリフ回しや動きや呼吸をそっくり真似ようと意識しているのですが、この役に必要なテクニックは正直ハイレベルです。
いつか勤める時の為の今月は修行のようになっています。

世話と時代の使い分けと言うのは一例を上げて言うと、「千本松原」の場で十兵衛が死んでいく平作に股五郎の落ち行く先を告げるとき「吉田でおおたと人の噂」の部分で吉田でおおたとの部分が時代の台詞回しで人の噂で世話の台詞回しに変化していきます。これは、次の台詞の「親父どん」に繋がる事と、言ってはいけないことを言ってしまいもうこれ以上言えないという心の表現とが重なっている部分ですので、お客様にその苦しい心情を伝える為のテクニックです。時代はたっぷり、世話はさらっとというイメージでしょうか。

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