中村扇雀の公式ブログ

「今月の舞台"曽我十郎"と"梅川"」

2015年1月11日

今月の舞台写真です。

"曽我十郎"

久し振りの「対面」の"十郎"です。鬘と衣裳の着方が江戸歌舞伎との違いです。以前に紹介したように襟を抜かずに衣裳を着ます。
親の敵に初めて対面するという気持ちを終止失わないことが何よりも重要ではないでしょうか。ただ、ここで敵討をするわけではないのであくまでも礼儀を忘れないことも必要です。
"大磯の虎"が盃を目の前に運ぶ時にはお客様には見えませんが目を合わせるようにしています。旧知の中ですので心に通じるものがあります。そこを気持ちの中でグッと表現します。
"工藤"の橋之助さんの大きさ、"五郎"の愛之助さんの勢い等々、歌舞伎ならではの初春の幕開きをを楽しんで下さい。

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"梅川"

何度務めたのでしょう。去年の2月博多座、3月歌舞伎座をもこの役を務めていました。
これまで菊五郎のお兄さん、亡くなった勘三郎の兄貴、勿論父の藤十郎、そして今回の兄の新鴈治郎の皆さんの忠兵衛で、200回以上は務めています。
"忠兵衛"も歌舞伎鑑賞教室で初役以来(その時の梅川はなんと愛之助さん)扇雀襲名時の巡業では100回以上等こちらも200回近く務めています。
玩辞楼十二曲の中でも最も多く出演しています。中でも父の忠兵衛で務めている時に初代鴈治郎から祖父、父と受け継がれた"忠兵衛"は身体で覚えています。心の動きが順番に整理され台詞の緩急や言い回しも決まっている部分が多く、幕切れの花道の引込みに繋がっていきます。
今回兄は自分自身の忠兵衛を作り上げていますので、新鴈治郎としての方向性を見るような気がしています。私は父の忠兵衛をなぞっていますのでそこが工夫ではないでしょうか。


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今月26日まで大阪松竹座にて上演中です。
是非ご来場下さい。
お問い合せは下記までお願い致します。

suzumenokai@senjaku.com

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コメント

あけましておめでとうございます。
この舞台を拝見していないのにコメントすることをお許しくださいませ。
十郎のお写真を見た途端、泣けてしまったのです。
(私は扇雀さんのお芝居ではいつも感動して泣いてしまいますが)
まさに私が観客として観たいと願う理想の十郎がいる!と思いました。
親の敵への怒り・憎しみを五郎は外へ、十郎は内に・・・
五郎の荒ぶる様は十郎の心の奥そのもの、けれど、けして外には出さない大変なお役。
それが、お写真の中の居ずまい、目に感じられて、凄い!と。
生で観たら号泣してます。
新春のTVでの梅川を観たとき、扇雀さんの梅川は、いつも、
まさに「今」大事を知ったという、常に「いつも今」だと感動しました。

私も観客として歌舞伎狂として、歌舞伎は江戸歌舞伎と関西歌舞伎ふたつあって、「歌舞伎」なのだと思っています。
このところの扇雀さんの記事の中に「和事の継承」という言葉があり、とっても嬉しく読ませていただいておりました。
私はそれができるのは扇雀さんだけだと思っています。
お父様の忠兵衛の七三の引っ込みの和事にしかない言葉にならない魅力、
あれを継承できるのは扇雀さんだけだと思っています。
扇雀さんがいてくださってありがたい! 嬉しいです!
ありがとうございます。
四月にお江戸で扇雀さんのお芝居を観られることを楽しみに待っております。

上方歌舞伎として見る壽曽我、また違う趣がありました。封印切、昨年も成駒屋さんの型で拝見しておりますが、八右衛門が仁左衛門様だったり、秀太郎さまも更にパワーアップで、本当に歌舞伎は脇役さんで変わりますね。周囲の方の襲名を盛り上げる気持ちもよくわかります。また今週二回目伺います。

じゅんこさん

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
和事の継承は口で言うのは簡単ですが、一朝一夕にはできないものです。時間を掛けて引き継ぎまた次世代へと思っています。
4月の歌舞伎座楽しみにしていて下さい。

tamさん

ご観劇ありがとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
仰る通り役者さんの持っている力がそのまま舞台に出てきますのである意味戦いなのかも知れません。勘三郎の兄貴とはいつも戦っていたような気がします。ですから私もこの先勝負事ではありませんが自分自身と戦っていきたいと思っています。

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