中村扇雀の公式ブログ

「錦祥女を努めて」

2018年3月30日

3月歌舞伎座大歌舞伎も27日に千穐楽を迎え25日間の全日程を終了しました。
ご来場下さった皆様、心から御礼申し上げます。

歌舞伎座は全国の劇場や会館、ホール等演劇を上演する全てのスペースの中でも特別な場所で、この場所で役を演じることの責任や重みをいつも感じます。
今回は初演(文楽)時に17ヶ月ロングランの記録を作った近松門左衛門の名作「国性爺合戦」
の久し振りの上演で、"錦祥女"は多くの先輩が演じた役でもあり楽しみにしていた演目でした。

3月19日の「国性爺合戦」でも話しましたが
約300年程前の近松門左衛門の名作を歌舞伎に移した演目で今回も文楽の上演床本を練り直し近々の歌舞伎上演の台本に数か所の手直しを自分なりに入れて舞台に臨みました。

今回の4場は錦祥女と義理の母である渚と2人の女性の葛藤が中心となった人間ドラマであり渚を務められた秀太郎のお兄さんとの母娘がドラマの中心となっています。
義太夫狂言を得意となさるお兄さんとの共演は大変楽しくまた勉強にもなります。
常々役を好きになることをモットーにしていますがこの"錦祥女"は演れば演るほど好きになっていった役となりました。

楼門の上に城主の妻としてあらわれ約20年振りの父との再開、旦那様と父、義母の間に挟まれての葛藤。そして自害して義を立てる気高さ。
どこをとってもやり甲斐があり、そして普段着ることのない中国風の衣裳に派手な冠を乗せた鬘と楽しい限りです。

楼門の場では門の上ということもあり動きが少なく義太夫中心ですのでお互いの息が一番重要になってきます。六大夫さんと燕太郎さんの竹本のコンビと25日間25回努め、問題点や改善点等話し合いを進め結果が得られたと思っています。歌舞伎の大夫さんは文楽の太夫さんに稽古をしてもらうこ通常は無いので録音を聞いて勉強しているのですが、本作品に限らず義太夫の持っている魅力を歌舞伎という形態を通して更に表現していくこと。それは大きな目標です。

言葉が難解な部分はありますがお客様に近松門左衛門の作品の素晴らしさが伝わればと願いつつ舞台に立っていました。
大好きになった"錦祥女"、再び演じられる事を願いつつ5月コクーン歌舞伎に気持ちを切り替えます。

1ヶ月ありがとうございました。

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