中村扇雀の公式ブログ

「2つの感動」

2016年8月30日

今年の納涼歌舞伎も29日に千穐楽を迎えました。

1部から3部まで4役を努め盛況内に幕を閉じ、勘三郎のお兄さん三津五郎のお兄さんから納涼歌舞伎を引き継いだ責任を果たせたかなと、ホッとしています。
染五郎さんや猿之助さんも加わり例年以上に盛り沢山な演目でお客様も満足していただいたと確信しています。

その千穐楽に2つの感動が待っていました。

まず1つ目は橋之助さんの名前で最後の舞台となった「土蜘蛛」の終演後。
36年間名乗った名前の最後の舞台となり幸ちゃん(橋之助さんの本名)も感慨一入だったと思います。楽屋で横断幕、クラッカー、花吹雪、花束で労をねぎらったのです。
愛着のある名前に別れを告げることは寂しいと思いますが新たなスタートですので盛大に祝福の意をこめ盛り上げました。

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2つ目は「廓噺山名屋浦里」の終演後です。

定式幕が締まり作品の成功を喜び、勘九郎さん駿河太郎さんと舞台上で握手を交わし楽屋に戻ろうとするとなんと客席の拍手が鳴り止まずその熱気が幕の向こう側から伝わってくるのです。
大道具のみんなに舞台をそのままにするようにお願いし、花道から七之助さんが戻ってくるのを待ちます。いつまで拍手が続くのかは判りませんがこれは皆様に感謝のご挨拶をと思いとにかく鳴り止む前に定式幕を開けるように狂言方の徳太朗さんに頼みます。
幕が開くと直接みなさんの拍手が舞台裏まで響いてきます。花道から戻った七之助さんが帯を付け直し、舞台袖から出るか山名屋の暖簾から出るか瞬時に相談し暖簾から舞台に出ることに致しました。
暖簾から舞台へ再び出るとなんと歌舞伎座1階から3階迄お客様が総立ちで迎えて下さってるではありませんか。鳥肌がたちました。
そして客席から原案のタモリさん初演の笑福亭鶴瓶を舞台へ招きあげお二人がお客様へ挨拶をしくださり興奮冷めやらぬ中再び定式幕が締まります。

七之助さんが「やっと少し恩返しができたと思います」とそっと私に言いました。
哲明さんも喜んでくれているでしょう。悔しがってるかな。
歌舞伎が現代に息吹いている事が証明された瞬間です。
お客様の拍手に心から感動しました。
納涼歌舞伎の役目が果たせた満足感に包まれ感動の千穐楽を迎えたのです。

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皆で記念撮影!

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皆様1ヶ月ありがとうございました !!

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コメント

素敵なブログをありがとうございます。
あの場に居合わせることが出来たこと幸せに思います。

橋之助さんのお名前での最後の公演ということもあり土蜘も最期の場面では感動の涙が出ました。
廓噺山名屋浦里は本当のハッピーエンドではないのかもしれませんがあの心優しい人たちを見終った後は毎回とても人にやさしくしたい気持ちになりました。
そして今また文章を読みながら三部終演時の感動が蘇って目が潤んでいます。
歌舞伎座ではカーテンコールはないものと思っていますので決してそれを望むものではなく心からの感動、称賛、感謝の拍手、手拍子になることのない紛れもない拍手でした。
幕が開けられたときの驚きと喜びは出演者様方々と観客が同じ気持ちを分かち合えたようでなおのことうれしいかったこと!
出演の方々のお気持ちは言葉がなくとも様子で十分に伝わってきました。
歌舞伎の間口もずずっとまた広がりましたね。
勘三郎さんはきっと泣きながら喜んで、でもくやしがっていらっしゃったことでしょう。

余韻に浸りながらもまた舞台を観られることを楽しみにしています。
いいお写真を見せていただいてありがとうございます。(長文にて失礼しました)

一ヶ月お疲れ様でした。
千穐楽、幕が閉まっても鳴りやまない拍手。
いつもなら、終わると私も含め帰っていくのですが、あの日は
今まで見たことがない光景が広がっていました。私には場内ア
ナウンスも聴こえませんでした。
タモリさんも好きなので、扇雀さんと握手されているのを見て
また涙。
あの場に立ち会えて良かったです。
また、平兵衛さんの羽織の紋、欄間が雀で嬉しくなりました。

お疲れさまでございました。
三部とも楽しかったです。
廓噺山名屋浦里は三回拝見いたしました。
もちろん千穐楽にも伺いました。
奇をてらわなくても人々を感動させる新作歌舞伎が作れることが実証されましたね。
あれは間違いなく古典となるべき名作です。その誕生を祝福するカーテンコールだったと思います。
その歴史的瞬間に立ち会えたことに感謝いたします。
これからも素晴らしい納涼歌舞伎を見せて下さいませ。

Thanks for sharing these pictures with us!
Congratulations to 芝翫さん!
I came to the 23rd and 24th performances, it is my first time coming to Japan.
Thank you all for the precious memories I've got in Kabuki-Za, can't wait seeing your performance next time!

扇雀さん、千穐楽の素敵なお話を私達にも伝えて下さいまして、どうもありがとうございました。当日の熱気が甦りました。
納涼歌舞伎三部は仕事を終えてからも通える時間に開幕して下さる上、「土蜘」「廓噺山名屋浦里」とも大好きな演目なので何度も拝見いたしました。特に山名屋浦里は幸せな気持ちで歌舞伎座を出られるのでとても良かったです。
扇雀さんの廓ご主人や中村屋ご兄弟は勿論、禿役の祥馬さんがとても良かったです。四谷怪談に続いて大きなお役を頼もしく勤められて、将来がとても楽しみです。
来月の勘平、楽しみにしています!

一ヶ月の舞台お疲れ様でした。
観客の皆様も感動して拍手をし続けたのだと思います。
拍手しながらボロボロと涙を流している事に気が付きました。

もう一度、定式幕が開いた事に逆にビックリしてしまいました。
本当にあの場に居て良かったです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

素敵なお写真を見て、又 涙・・・です(笑)

納涼歌舞伎の舞台、お疲れさまでございました。

いずれの部もそれぞの魅力があり、通えば通うほどもっと観たくなり、千穐楽を過ぎて身の置き所のない気持ちです。本当に素晴らしい日々でした。

「廓噺山名屋裏里」千穐楽のカーテンコールは本当に感動でした。暖簾の向こうから出てきたときの皆さんの当惑気味というか想定外に驚きの表情が印象的でした。ぜひとも近い将来、再演して頂きたい演目です。

次は10月の早野勘平、楽しみに致しております。

あやこさん

ご来場ありがとうございました。一期一会でしたね。

akikoさん

カーテンコールは自然発生だっのかもしれません。野田歌舞伎の「研辰の討たれ」の初演の初日を思い出しました。予定されていない奇跡のような瞬間でしたね。私の心にもしっかり焼き付きました。皆さんのお陰です。ありがとうございました。

梅☆さん

羽織の紋と欄間の紋が寒雀になっていたのを気づいて下さりかなり嬉しいです。
大道具さんが欄間に寒雀を書いてくれているのを舞台稽古で発見して衣装さんにすぐに着付けの紋を変えてもらうように頼んだのです。それに気づかれたのは凄いというか嬉しいです。
舞台を楽しんで下さってますね。情報を公開していないのは私の役作りの楽しみなのですがお一人でも気づかれてやったかいがありました。ありがとうございます。

白玉さん

3回も山名屋を見ていただいたとは嬉しいです。新作歌舞伎としての成功は重要な意味がると思います。この創作作業こそ歌舞伎の発展の源だと確信しています。これからも宜しくお願いいたします。

To Benny

Thank you for coming our program.Please love Kabuki forever and introduce your friends.

花鳥風月さん

ありがとうごさいます。私達にとっても素敵な公演でした。国立劇場で10月お待ちしています。

kazさん

私自身もビックリでした。とにかく一期一会です。感謝の言葉しか有りません。ありがとうございました。

やすしさん

最高の賛辞をありがとうございます。暖簾から出た時の光景はお客様にお見せしたかった。
劇場が一つになった瞬間でした。国立劇場でもお待ちしています。

お疲れさまでした。
私は歌舞伎が大好きな大学生です。
毎月必ず全ての演目を時間を見つけるたびに観に行って
いたのですが、就職活動準備が忙しく
三ヶ月ぶりに拝見したのが納涼歌舞伎千穐楽でした。
追われていた現実から解き放たれ、
心が揺れた時間でした。
橋之助さんの最後の姿。あのカーテンコール。
歌舞伎が上演されたから、政治が経済が、科学が
発展するわけではない。でも歌舞伎での刺激感動が
人を動かし、世界が良くできるのだろうと
強く思いました。
学生としてあと1年という思い出作りと
社会人として必要なパワーをこれからも歌舞伎から
頂きたいなと思いました。
本当に素敵な舞台をありがとうございます。

杏香さん

ありがとうございます。私も歌舞伎がある日本に生まれてよかったと思っています。この先も歌舞伎を愛して下さい。人生の友として。

幕の向こう側のご様子を伺い、また涙がこぼれてしまいました。あの時はただ、よいものを見せていただいた感謝の気持ちでいっぱいでした。客席の思いを受け止めてくださり、本当にありがとうございました。
山名屋の暖簾から皆様が顔を見せてくださったときは、時空を超えて江戸の世界にいるような不思議な感覚でした。夢のような出来事の中、勘三郎さん、三津五郎さん、この光景をどこかで見てくださっているかな?と思っていましたが、きっとご覧になっていますね。
ご兄弟がそれぞれの持ち味で真っ直ぐに演じられたこと、素晴らしかったと思います。そして周りの方々の温かさ。土蜘終演後のお祝いのご様子からも、強く伝わって来るものがありました。
全てが詰まっていたような千穐楽の第三部、その場にいられたことは幸せでした。この気持ちを忘れずに、これからも素直に歌舞伎に向き合っていきたいと思います。
夏のお疲れが出ませんように。どうぞお体ご自愛ください。

私は 舞台を見て 泣いたり 笑ったりする事が 好きですが ここ数年 人情話とか いい話を みると 凄く 心に残り ほっとするなと 感じていました。他の演目が 嫌とかでは ないです。今の世の中 そういう人間の心の部分を 求める人が 多くて ピッタリ合って 感動的な 千縄楽に なっていったのかなと 思いました。何年も 上演されていない演目が 復活された時なども この時に 立ち合えて 凄いと 思いますが 現代の 作品が 歌舞伎化されるのを 観れて 生きてる歌舞伎なんだなと 感じました。去年 母が 鶴瓶さんの落語会で 山名屋浦里を 聞いたらしく とても よかったと いってまして 私も 楽しみにしてました。想像以上に いい話で 舞台も 美しく 素晴らしいです。観客を 待たせないように 舞台転換も 工夫されてるのだろう思いました。酒井さんの 真実味ある心根に 浦里が動いた お金や 意地だけではない事 歌舞伎では 人に 馬鹿に されたりしたら悲劇になる話も 多いけど そんな真面目一筋の人が 勝つとこが いい。吉原一の遊女山名屋主人として 名の通った人達が 実は地方から出てきて 苦労してて 酒井さんの中に かつての自分を 見た という事でしょうか。再演の時は 関西で やって欲しいです、より ウケる というか 間違いなく 喜びます。やはり 長文に なりました 

どの 方向から 書いてみても 長くなり
そのまま 載せていただいて ありがとうございます。書き忘れましたが 八徳は 知ってますが 忘八 という言葉を 初めて聞いて 印象深かったです、台詞で 説明されてたので 意味も わかりやすかったです。  山名屋の 提灯に 駿河屋と 書いてあるように 見えましたが 凝ったセットですね。ところで お岩様の時よりも 更に 痩せはったように 感じましたが ダイエットは 続いて いたのですか? 私なんて 増える一方で 恥ずかしい限りです。しばらく観劇予定は 入れませんが いつも 応援してます 

いろんな方のブログで拝見していた様子が、実際に写真で拝見できて、とてもうれしく思いました。

先日、橋之助丈の襲名披露パーティーでお見かけしたときに、お声かけしようかと思いましたが、遠慮させていただきました。

これからも素敵な舞台を楽しみにしております。

花梨さん

暖かいお言葉ありがとうございます。素晴らしい納涼歌舞伎の千穐楽になり私自身も記憶に残る1日でした。少し休養して次の新しい舞台に臨みます。是非また劇場に足をお運び下さい。

あけみさん

体重はほぼ一緒でキープしています。お岩様からは少し戻ったかもしれませんが今の状態をキープしようと思っています。10月の国立劇場是非いらして下さい。お待ちしています。

nackyさん

ありがとうございます。どうぞお気軽にお声をお掛け下さい。10月の国立劇場でお待ちしています。

扇雀さんお疲れ様です。素敵な写真とエピソードありがとうございます。
八月納涼歌舞伎は毎年楽しみにしていて今年は3部を2回ほど拝見させていただきました。
花道の真横だったので一瞬でも扇雀さんを間近で拝見できて感激しました。
「土蜘」の哲之くん可愛かったですね。
「廓噺山名屋浦里」は舞台セットがとても綺麗でお話も良かったです。人情話好きなので「祇園恋づくし」「狐狸狐狸ばなし」の再演もあればなぁと思います。
国立劇場とNODA・MAP楽しみにしてます!

ゆうこさん

ご来場ありがとうございました。8月納涼歌舞伎は私も楽しみな公演です。千穐楽のカーテンコールとスタンディングオベーションには本当に感動し皆様からエネルギーを頂きました。人情話いいですよね。国立劇場とNODA・MAPでもお待ちしています。

うわ~千秋楽をみたかったな!!
いつも扇雀さんのブログを楽しく拝見しております。
だけど、最近チェックするのを忘れてました(汗)
ゴメンナサイ。
素敵な写真をありがとうございます!!
歌舞伎最高!!大好きです(^○^)

ナオコさん

千穐楽観て頂けなくて残念でした。ブログも更新が減っているのでこちらこそ申し訳ありません。これからも宜しくお願い致します。

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