中村扇雀の公式ブログ

「国立劇場初日」

2020年10月 5日

1月以来の国立劇場の初日が4日に開きました。
公演が出来る事は嬉しい限りです。

が、8月の歌舞伎座と同じように席は一つおきでそれぞれの座れない席には布が巻いてあります。そして大向うも禁止のまま。その分お客様はいつもに増して大きな拍手を送って下さいます。しかし、床に座っている太夫さんとお三味線の二人は黒い布で顔を覆ったまの不思議な出で立ちは変わらず。
「源太勘当」は場面が二つなのですかそれも一つに集約して転換で大道具さん達と近づかない演出に変更しての上演。
せめてマスクをしたままの大向うは許されないのかと心の中で訴えています。
口に出したら今は感染症の先生の指導に従っていますとの返事しか返ってきません。
感染症拡散は重大問題です。このまま永久に続くことは考えにくいですが、毎日渋谷を歩いている一都民としては、あの人が多く行き交う雑踏に引き換え、劇場内での束縛された世界から一刻も早く解放されたい。
座席に布が巻いていない客席を取り戻したい。お客様にもご不便を強いての上演は本当に心苦しい限りです。

そんな中、初役で腰元千鳥を努めています。
歌舞伎ではカットされていますが千鳥人柄の表現に"愛嬌あって可愛ゆらし"という一文がありますので、そこを目指してひたすら源太様を好きで努めてゆきます。
長い事舞台での女方の声を出していない上に、客席の扉が開放されているのは音が抜けていくので、その点に充分神経を使っています。
幸四郎さんの新作舞踊も大変楽しいようで、というのは稽古見られていないのです。
初日を客席から見た虎之介の伝言なのですが、相変わらず楽屋にしんぞくも入れません。
終演後に劇場外で聞きました。
自分の出ていない演目の時には、稽古場や劇場にいられません。
同じ演目に出ている役者同士も楽屋の行き来は禁止です。
平次役の幸四郎さんにはラインで芝居の修正箇所はやり取りしました。楽屋内で、、、
2部に出演の皆さんとはいまだにどなたも会ってません。
こんな事が起こるなんて想像もしませんでした。

何はともあれ国立劇場での歌舞伎が再開されました。
27日の千穐楽まで自分自身を含めクラスターが出ない事を願うばかりです。

IMG_1203.jpeg

ご来場心からお待ちしています。

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コメント

大向うさんのない歌舞伎は、やはり何か物足りない気がしますね。
8月に大阪の近鉄アート館で上演されました歌舞伎公演
[晴の会]では、透明のビニールシートで囲われたスペースに大向うさんがいらっしゃり、迫力がありました。
千穐楽まで、いつも以上にお身体を大切にお務め下さいませ。

千鳥さん、とても可愛らしかったです。しばらく女方をされるお姿を生で観られていなかったのですがちょっとお顔がほっそりされたかしら?と見えてより若々しい千鳥に感じました。源太勘当は初めて観ましたので場面転換にそのような事情があるとは知らず。この時ならではの特別な演出が見られるとプラスに考えるようにはしていますが、松竹座の中止の公表も受け、やはり普通に見られる日が早く来て欲しいと願うばかりです。

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